では、次に短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】7を見ていきます!!
短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】1~6はこちら↓
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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】7
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集
【特許・実用新案】7
特許法に規定する特許料及び罰則について、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。
(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。
(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。
(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。question.pdf (jpo.go.jp)
(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
1つずつ見ていきましょう^^
イ
(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。
これ、めちゃくちゃややこしいね・・・
ポイントはどこの期間の実施かってとこ。
特許料の追納について(112条+112条の2+112条の3)
ポイント:期間を①~③の3つに区切って考える!
①4年目以降の特許料の納付期限・・・本来は前年以前(4年分の特許料であれば、設定登録日から3年経過前)
②追納期間Ⅰ・・・納付期限の経過後6ヶ月以内なら追納可能∵112条
③追納期間Ⅱ・・・追納期間Ⅰ経過後であっても、正当理由ありで1年以内+理由がなくなった日から2ヶ月以内ならさらに追納可能(∵112条の2)、でもこの期間の権利の効力は制限される!(∵112条の3)
今回の設問の場合、
①特許料の納付期限・・・納付なし
②追納期間Ⅰ(6ヶ月)・・・納付なし
③追納期間Ⅱ・・・納付ありで回復
というケース。
その場合の、特許権の効力の制限がどうなるかってことなんだけど・・・
追納期間Ⅱでの実施なら効力制限されるけど(∵112条の3第2項1号)、他の期間での実施は関係なかったよね。
今回の設問では、「納付期限経過の翌日に行われた」=追納期間Ⅰでの実施なので、制限されないよね。
なので、答え○
(回復した特許権の効力の制限)
第百十二条の三 前条第二項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
2 前条第二項の規定により回復した特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該発明の実施
特許法 | e-Gov法令検索
(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。
答え○
理由:追納期間Ⅱの実施なら効力制限されるけど(∵112条の3第2項1号)、今回の設問では、「納付期限経過の翌日に行われた」=追納期間Ⅰの実施なので、制限されないため
ロ
(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。
秘密保持命令違反の罪は、親告罪だったよね!
もし非親告罪だと起訴されたときに営業秘密が公にされてしまうので、営業秘密の保護に反することになっちゃうので、親告罪になっているんだったよね!!
関連条文は200条の3第2項
(秘密保持命令違反の罪)
第二百条の三 秘密保持命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
特許法 | e-Gov法令検索
(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。
答え×
理由:秘密保持命令違反は親告罪∵200条の3第2項
ハ
(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。
両罰規定のことだよね!
でも、まずは従業者が「詐欺行為により特許」を受けたこともNGだね!
(詐欺の行為の罪)
第百九十七条 詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録、特許異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
特許法 | e-Gov法令検索
従業者が「詐欺行為により特許」を受けた場合・・・三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金∵197条
さらに、詐欺行為は、従業員だけじゃ無くって、法人も罰せられる=両罰規定だったよね!
(両罰規定)
第二百一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百九十六条、第百九十六条の二又は前条第一項 三億円以下の罰金刑
二 第百九十七条又は第百九十八条 一億円以下の罰金刑
特許法 | e-Gov法令検索
法人に対する詐欺行為=197条の罰金刑・・・・一億円以下の罰金刑∵201条1項第2号
従業員が詐欺行為にて特許登録したら・・・両罰規定で両者に罰則あり!
従業員には・・・三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金∵197条
会社には・・・一億円以下の罰金刑∵201条1項第2号
なので、「法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑」のところが×
(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。
答え×
理由:「法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑」のところが、正しくは一億円以下∵197条、201条1項第2号
ニ
(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。
過誤納などの場合の返納についてだよね!
111条^^
(既納の特許料の返還)
第百十一条 既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
一 過誤納の特許料
二 第百十四条第二項の取消決定又は特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料
三 特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料(当該延長登録がないとした場合における存続期間の満了の日の属する年の翌年以後のものに限る。)
特許法 | e-Gov法令検索
既納の特許料は、納付した者の請求により返還!!∵111条1項
1号:過誤納の特許料の返還
2号:特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還
なので、答え○
(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。
答え○
理由:∵111条1項1号+2号
ホ
(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。
過料についてだね!
関連条文は203条!
第二百三条 この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、十万円以下の過料に処する。
特許法 | e-Gov法令検索
203条そのままなので、答え○
(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。
答え○
理由:203条そのまま
まとめ(R05短答・特実7)
【特許・実用新案】7
特許法に規定する特許料及び罰則について、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。
(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。
(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。
(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。
(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
答え:2
理由:ロとハが×のため
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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