弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】11

短答・令和5年度
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さかいろ
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では、次に短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】11を見ていきます!!

特実は20問なのでようやく折り返し^^

短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】1~10はこちら↓

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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】11

令和5年度弁理士試験

短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集

【特許・実用新案】11
特許無効審判及び延長登録無効審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。


(イ) 審判長は、特許無効審判に係る請求書が特許法に定める方式の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならず、その補正をすべきことを命じた者が指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもって当該請求書を却下することができる。


(ロ) 請求項が1のみである特許について特許異議の申立てをした特許異議申立人が、さらに、同一の特許について当該特許異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づく特許無効審判の請求を行った場合において、その後、当該特許無効審判の係属中に当該特許異議の申立てについての取消決定が確定したときは、当該特許無効審判の請求は審決をもって却下されることがある。


(ハ) 特許無効審判により、特許請求の範囲に記載されたすべての請求項についての特許を無効にすべき旨の審決が確定した後には、その特許について、新たに特許無効審判を請求できる場合はない。


(ニ) 特許無効審判が請求されていない請求項について誤記の訂正を目的とする訂正の請求をする場合、その訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。


(ホ) 審判長は、特許無効審判又は延長登録無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときは、いずれの審判事件においても審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。


1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

question.pdf (jpo.go.jp)
さかいろ
さかいろ

誤っているものは、いくつあるか問題だね!

(イ) 審判長は、特許無効審判に係る請求書が特許法に定める方式の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならず、その補正をすべきことを命じた者が指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもって当該請求書を却下することができる。

さかいろ
さかいろ

方式違反の話だね!

この問題では審判請求書が方式違反しているようだけれど・・・

まずは審判請求書について復習!!・・・これは131条に規定されていたよね!

(審判請求の方式)

第百三十一条 審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。

 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所

 審判事件の表示

 請求の趣旨及びその理由

特許法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

審判請求書とは・・・??

1当事者等の氏名等

2審判事件の表示

3請求の趣旨+理由

を書いて特許庁長官に提出∵131条1項

次に、この審判請求書が方式違反している場合について、見ていきます。

方式違反の場合は、審判長から補正命令(133条1)→補正なしの場合、審判長による決定をもって却下(133条3項)だよね。

(方式に違反した場合の決定による却下)

第百三十三条 審判長は、請求書が第百三十一条の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。

 審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、その補正をすべきことを命ずることができる。

 手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。

 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。

 手続について第百九十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。

 審判長は、前二項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又はその補正が第百三十一条の二第一項の規定に違反するときは、決定をもつてその手続を却下することができる。

特許法 | e-Gov法令検索

なので、答え○

さかいろ
さかいろ

受験時代、「決定却下」か、「審決却下」か、よく間違えたんだよね・・・

あと、誰が?てとこもややこしくって。

審判長?合議体?それとも長官??って。

ややこしいよね。

なので、メモでまとめておきます!

理解が間違っていたらスイマセン。

  • 方式審理
    • 補正可能な方式違反
      • 例えば、審判請求書の方式不備、手数料関係の不備とか
    • 不備の場合、審判長による補正命令∵133条1,2項
    • 従わない場合、審判長により決定却下∵133条3項
  • 適法性審理
    • 補正できない重大な不備
      • 例えば、審判請求期間経過後の審判請求とか、対象物のない審判請求とか
    • 審判官合議体により審決却下∵135条

イ) 審判長は、特許無効審判に係る請求書が特許法に定める方式の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならず、その補正をすべきことを命じた者が指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもって当該請求書を却下することができる。

答え○

理由:補正可能な方式違反の場合は、審判長から補正命令(133条1項)→補正なしの場合、審判長による決定をもって却下(133条3項)のため

(ロ) 請求項が1のみである特許について特許異議の申立てをした特許異議申立人が、さらに、同一の特許について当該特許異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づく特許無効審判の請求を行った場合において、その後、当該特許無効審判の係属中に当該特許異議の申立てについての取消決定が確定したときは、当該特許無効審判の請求は審決をもって却下されることがある。

さかいろ
さかいろ

これは、同一事実と証拠で、異議申立+無効審判を平行させた場合の話だよね。

異議申立の方で無事取り消し決定(特許つぶせた)が出たときに、もう1件係属している無効審判はどうなるの?ってことだよね。

まず、異議申立の方で無事取り消し決定(特許つぶせた)が出た場合、どうなるかというと・・・

114条3項により、「取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。」つまり、無事取り消し決定が確定すると、特許権は遡及的に消滅します。

(決定)

第百十四条 

 取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

特許法 | e-Gov法令検索

となると、無効審判の対象となる特許権は存在しないことになるよね!(意義申立で取消決定確定により遡及消滅しているから)しかも、設問に丁寧に請求項は1つしかないと書いているから、他の請求項あるのでは?とかいう可能性もなく、やっぱり対象物はないよね。

ということで、さっきイのところでやったとおり、適法性審理のところで、補正できない重大な不備(対象物のない審判請求)となり、審判官合議体により審決却下∵135条となると考えられます。

なので、答え○

(ロ) 請求項が1のみである特許について特許異議の申立てをした特許異議申立人が、さらに、同一の特許について当該特許異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づく特許無効審判の請求を行った場合において、その後、当該特許無効審判の係属中に当該特許異議の申立てについての取消決定が確定したときは、当該特許無効審判の請求は審決をもって却下されることがある。

答え○

理由:異議申立の方で取消決定が確定すると、特許権は遡及的に消滅し(114条3項)、無効審判の方では、対象の特許権が無いため補正できない重大な不備となり、審判官合議体により審決却下(∵135条)となると考えられるため。

(ハ) 特許無効審判により、特許請求の範囲に記載されたすべての請求項についての特許を無効にすべき旨の審決が確定した後には、その特許について、新たに特許無効審判を請求できる場合はない。

さかいろ
さかいろ

無効審決確定特許権は遡及的に消滅だよね??∵125条

となると、対象物となる特許権が無くなるので、新たな無効審判請求できないし・・・

なんか例外的な場合って、あったっけ??

と思って125条を確認!!

第百二十五条 特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。

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ありました!!125条ただし書きのとこだね。123条1項7号に該当する場合はその時から遡及消滅。

で、123条1項7号ってなんだっけ??

(特許無効審判)

第百二十三条 特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。

 特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。

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さかいろ
さかいろ

↑これだね!

後発的無効理由特許権の享有主体違反、条約違反の場合は、該当するに至ったときから消滅するんだね!

なので、後発的無効理由違反の場合は、その理由に該当するまでの間は権利が存在することになるので、新しい無効審判を請求できるよね!!

なので答え×

(ハ) 特許無効審判により、特許請求の範囲に記載されたすべての請求項についての特許を無効にすべき旨の審決が確定した後には、その特許について、新たに特許無効審判を請求できる場合はない。

答え×

理由:後発的無効理由特許権の享有主体違反、条約違反(123条1項7号)の場合は、そのときから消滅(∵125条ただし書き)。その理由に該当するまでの間は権利が存在することになるので、新しい無効審判を請求できるため。

(ニ) 特許無効審判が請求されていない請求項について誤記の訂正を目的とする訂正の請求をする場合、その訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

さかいろ
さかいろ

無効審判係属中は、訂正審判に変えて、訂正の請求をするんだけれども、

その訂正の請求の目的についての質問だよね!

独立特許要件は課されるんだっけ??

まず、訂正の請求での、補正できる目的を復習します!

134条の2第1項各号に記載ありだよね。

1,請求の範囲の減縮

2,誤記・誤訳の訂正

3,明瞭でない記載の釈明

4,従属クレームを独立クレームへ(引用関係の修正)

この目的4つは、訂正の請求134条の2と訂正審判126条とで、全く同じだよね!!

(特許無効審判における訂正の請求)

第百三十四条の二 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

 特許請求の範囲の減縮

 誤記又は誤訳の訂正

 明瞭でない記載の釈明

 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

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(訂正審判)

第百二十六条 特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

 特許請求の範囲の減縮

 誤記又は誤訳の訂正

 明瞭でない記載の釈明

 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

特許法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

ここからちょっとややこしくなるけど、

じゃあ、独立特許要件の適用違いはどうなってるのってことだよね。

訂正審判・・・一律で独立特許要件が要求される∵126条7項

訂正の請求・・・無効審判の対象となった請求項以外の請求項について、独立特許要件が要求される∵134条の2第9項で読み替え。

※理由:無効審判の対象となった請求項は、無効審判で無効理由が審理されるので、訂正審判のように独立特許要件を一律適用とすると、重複してしまうため、無効審判の対象となった請求項以外の請求項についてのみ、独立特許要件が要求される。

さかいろ
さかいろ

そう、訂正審判と訂正の請求では、独立特許要件が課されるポイントが違うんだよね!!

(訂正審判)

第百二十六条 

 第一項ただし書第一号又は第二号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

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(特許無効審判における訂正の請求)

第百三十四条の二 

 第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

特許法 | e-Gov法令検索

なので答え○

(ニ) 特許無効審判が請求されていない請求項について誤記の訂正を目的とする訂正の請求をする場合、その訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

答え○

理由:無効審判の対象となった請求項は、無効審判の方で無効理由が審理されるので、訂正審判のように独立特許要件を一律適用とすると、重複してしまうため、訂正の請求では、無効審判の対象となった請求項以外の請求項についてのみ、独立特許要件が要求される。(134条の2第9項で読み替え)

(ホ) 審判長は、特許無効審判又は延長登録無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときは、いずれの審判事件においても審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

さかいろ
さかいろ

審決予告の話だね!

特許無効審判における特則)

第百六十四条の二 審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

特許法 | e-Gov法令検索

審決予告は、164条の2第1項にあるとおり、「無効審判」で審決するのに熟した場合において、なされるものだよね。なので、延長登録無効審判は関係ないよね!

そもそも、審決予告が導入された経緯は、無効審判の審決に対して審決取消訴訟が提起されたのに、訂正審判がされてしまうと、裁判所で何の判断もせずに、もう一度特許庁に戻ってきて、事件が何度も往復しちゃうということがあったんだけど、こんな非効率なことを避ける為に導入されたものだよね。

なので、やっぱり、「無効審判」に関する特則で、延長登録無効審判は関係ないよね!

なので、答え×

(ホ) 審判長は、特許無効審判又は延長登録無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときは、いずれの審判事件においても審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

答え×

理由:「延長登録無効審判」の部分が×のため

まとめ(R05短答・特実11)

【特許・実用新案】11
特許無効審判及び延長登録無効審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。


(イ) 審判長は、特許無効審判に係る請求書が特許法に定める方式の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、当該請求書について補正をすべきことを命じなければならず、その補正をすべきことを命じた者が指定した期間内にその補正をしないときは、決定をもって当該請求書を却下することができる。


(ロ) 請求項が1のみである特許について特許異議の申立てをした特許異議申立人が、さらに、同一の特許について当該特許異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づく特許無効審判の請求を行った場合において、その後、当該特許無効審判の係属中に当該特許異議の申立てについての取消決定が確定したときは、当該特許無効審判の請求は審決をもって却下されることがある。


(ハ) 特許無効審判により、特許請求の範囲に記載されたすべての請求項についての特許を無効にすべき旨の審決が確定した後には、その特許について、新たに特許無効審判を請求できる場合はない。


(ニ) 特許無効審判が請求されていない請求項について誤記の訂正を目的とする訂正の請求をする場合、その訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。


(ホ) 審判長は、特許無効審判又は延長登録無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときは、いずれの審判事件においても審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。


1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

答え2

理由:ハとホが×のため

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