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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【意匠】5
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【意匠】5
意匠権の専用実施権及び通常実施権に関し、次のうち、誤っているものはどれか。
1 通常実施権は、その発生後にその意匠権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
2 意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠について、通常実施権を許諾することができる。
3 登録意匠イの意匠権者である甲は、登録意匠イについて、実施の範囲や地域に制限を設けずに、乙に専用実施権を設定した場合、丙による登録意匠イの意匠権の侵害行為に対して、差止請求権を行使することができる。
4 登録意匠イの意匠権者である甲が、登録意匠イについて、乙に対し「販売地域:G県」とする専用実施権を既に設定している場合、乙以外の第三者に対し「販売地域:G県及びH県」として、登録意匠イについて専用実施権を設定することはできない。question.pdf (jpo.go.jp)
5 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての通常実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる
今回は文章量が少なく読みやすいですね^^
では早速見ていきましょう^^
1
1 通常実施権は、その発生後にその意匠権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
特許で出てきそうな問題ですね^^
通常実施権の第三者対抗要件についてですね。
早速ざっくり復習しましょう!
- 通常実施権の第三者対抗要件
- H23改正前
- 通常実施権は登録が第三者対抗要件になっていた=登録が転得者対抗要件
- 例えば、特許権者・甲と通常実施権者・乙で許諾契約あり(登録はなし)→その後、特許権者が丙へ譲渡。通常実施権者・乙は新しい特許権者・丙に対して、登録していなければ自己の通常実施権を主張できなかった。
- H23改正後
- 登録制度は廃止。当然対抗制度が導入(特許法99条、意匠法28条3項で準用)。
- 例えば、特許権者・甲と通常実施権者・乙で許諾契約あり(登録はなし)→その後、特許権者が丙へ譲渡。通常実施権者・乙は新しい特許権者・丙に対して、登録していなくても当然に自己の通常実施権を主張できる!
- 改正理由ざっくり
- 通常実施権の登録が困難。実務では数千とかの単位となり、コスト&手間→もはや登録をしない実務が広がっていた等
(通常実施権の対抗力)
第九十九条 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
特許法 | e-Gov法令検索
(通常実施権)
第二十八条 意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。
3 特許法第七十三条第一項(共有)、第九十七条第三項(放棄)及び第九十九条(通常実施権の対抗力)の規定は、通常実施権に準用する。
意匠法 | e-Gov法令検索
ということで、H23改正後は当然対抗制度となりましたので、設問1は○
1 通常実施権は、その発生後にその意匠権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
答え:○
理由:H23改正後、登録制度は廃止。当然対抗制度が導入(特許法99条、意匠法28条3項で準用)
2
2 意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠について、通常実施権を許諾することができる。
類似する意匠まで許諾可能かってことだよね^^
特許だと「類似」の概念は出てこないけど、意匠だと「類似」の概念が出てくるんですよね。
なので、意匠権の範囲もこの通り、類似の範囲まで認められているんでしたよね!
(意匠権の効力)
第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
意匠法 | e-Gov法令検索
これは、意匠権の効力を特許権の効力と同様に、同一のみに限ると、保護範囲が狭すぎるからだよね。
ということで、意匠権者は類似する意匠まで効力ありで、それに通常実施権を許諾することが可能なんだよね。
なので、答え○だよね。
(通常実施権)
第二十八条 意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。
意匠法 | e-Gov法令検索
2 意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠について、通常実施権を許諾することができる。
答え:○
理由:意匠権者は類似する意匠まで効力ありで、それに通常実施権を許諾することが可能のため(23条、28条2項)
3
3 登録意匠イの意匠権者である甲は、登録意匠イについて、実施の範囲や地域に制限を設けずに、乙に専用実施権を設定した場合、丙による登録意匠イの意匠権の侵害行為に対して、差止請求権を行使することができる。
これは特許の判例だけど、リガンド分子事件のことだね^^
弁理士試験、頻出の判例だったよね!
特許権者は、専用実施権を設定しても、差止できるという判例だったよね。
- リガンド分子事件 H17.6.17 ざっくり復習
- 事案
- 特許権者が、専用実施権を設定した場合、特許権者でもその範囲は実施できない(∵68条ただし書き)けど、差止請求はできるの?っていう話です。
- 結論
- 特許権者が、専用実施権を設定した場合であっても、差止請求はできる。
- 理由
- 特許法100条1項の文言上可能
- ライセンス料確保するために(侵害放置したらライセンス料↓)、侵害を除去すべき理由あり
- 専用実施権消滅後に自己実施する際に、不利益を被る可能性あり
(差止請求権)
第百条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
(特許権の効力)
第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
特許法 | e-Gov法令検索
詳細はこちら↓
というわけで、答え○
3 登録意匠イの意匠権者である甲は、登録意匠イについて、実施の範囲や地域に制限を設けずに、乙に専用実施権を設定した場合、丙による登録意匠イの意匠権の侵害行為に対して、差止請求権を行使することができる。
答え○
理由:特許権者は、専用実施権を設定しても、差止できるという判例あり(リガンド分子事件)
4
4 登録意匠イの意匠権者である甲が、登録意匠イについて、乙に対し「販売地域:G県」とする専用実施権を既に設定している場合、乙以外の第三者に対し「販売地域:G県及びH県」として、登録意匠イについて専用実施権を設定することはできない。
専用実施権がどんな権利なのか理解すれば、答えは分かるよね^^
- 専用実施権(特許法77条、意匠法27条)
- 独占排他的効力を有する物権的権利(∵意匠法27条2項)・・・重複して設定や許諾×。意匠権者であっても×(∵23条ただし書き)
(専用実施権)
第二十七条 意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
3 基礎意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該基礎意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、全ての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
4 特許法第七十七条第三項から第五項まで(移転等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。
(意匠権の効力)
第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
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専用実施権は、独占排他的効力を有する物権的権利(∵意匠法27条2項)なので、設問のように「G県」重複で専用実施権の設定はできないよね。
なので、答え○
4 登録意匠イの意匠権者である甲が、登録意匠イについて、乙に対し「販売地域:G県」とする専用実施権を既に設定している場合、乙以外の第三者に対し「販売地域:G県及びH県」として、登録意匠イについて専用実施権を設定することはできない。
答え○
理由:専用実施権は、独占排他的効力を有する物権的権利(∵意匠法27条2項)なので、「G県」重複で専用実施権の設定不可
5
5 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての通常実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる
関連意匠!
令和元年大改正があったところだよね!!
- 関連意匠
- 趣旨
- 1つのデザインコンセプトから生まれたバリエーションの意匠について保護する
- 専用実施権の設定
- 同一の者に対して同時に設定が必要(27条1項ただし書き)
- 別々の者に専用実施権=物権的権利を設定してしまうと、2以上の者に独占排他権が設定されるので×
- 通常実施権の設定については特に規定なし
(専用実施権)
第二十七条 意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
意匠法 | e-Gov法令検索
設問5では「通常実施権は」となっていますが、同一の者に対して同時に設定が必要なのは専用実施権(27条1項ただし書き)ということになります。
なので、答え×
5 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての通常実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる
答え×
理由:「通常実施権は」が×。同一の者に対して同時に設定が必要なのは専用実施権(27条1項ただし書き)
まとめ(R05短答・意匠5)
【意匠】5
意匠権の専用実施権及び通常実施権に関し、次のうち、誤っているものはどれか。
1 通常実施権は、その発生後にその意匠権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
2 意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠について、通常実施権を許諾することができる。
3 登録意匠イの意匠権者である甲は、登録意匠イについて、実施の範囲や地域に制限を設けずに、乙に専用実施権を設定した場合、丙による登録意匠イの意匠権の侵害行為に対して、差止請求権を行使することができる。
4 登録意匠イの意匠権者である甲が、登録意匠イについて、乙に対し「販売地域:G県」とする専用実施権を既に設定している場合、乙以外の第三者に対し「販売地域:G県及びH県」として、登録意匠イについて専用実施権を設定することはできない。
5 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての通常実施権は、基礎意匠及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる
答え:5
理由:5のみ×。その他○
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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