弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】1【商標の使用】

短答・令和5年度
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さかいろ
さかいろ

ついに商標!が、まだ折り返し地点ではない・・・長い・・・

弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】1^^

意匠10が気になる方はこちらへ^^

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】1

令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集

【商標】1
指定商品を「ボールペン,消しゴム,マガジンラック,ハンドバッグ」とする登録商標イの使用に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。


1 登録商標イの商標権者が、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は、登録商標の使用に該当しない。


2 登録商標イの商標権者以外の者であって外国にある者が、登録商標イと同一の商標を付したボールペンを日本国内で販売するために外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為は、登録商標の使用に該当する。


3 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の標章を付したマガジンラックを、その者が業としてではなく個人で使用するために製作する行為は、登録商標の使用に該当しない。


4 登録商標イが文字、図形及び色彩を構成要素とする商標である場合に、登録商標イに類似する商標であって、色彩を登録商標イと同一にするものとすれば登録商標イと同一の商標であると認められるものを付した消しゴムを登録商標イの商標権者が製造し、販売する行為は、登録商標の使用に該当する。


5 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の商標を付したハンドバッグを日本国内で販売するために自らの荷物として外国から日本国内に持ち込む行為は、登録商標の使用に該当する

question.pdf (jpo.go.jp)

R05 短答 商標1

1 登録商標イの商標権者が、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は、登録商標の使用に該当しない。

受験生みーこ
受験生みーこ

これは、簡単!

指定商品が「ボールペン」等で「化粧品」とは商品非類似だし、使用じゃないよね!!

だから○だー!

さかいろ
さかいろ

じ、実は、私もそう思いました・・・

久々の商標問題だったのでスッカリ間違えました・・・

が、それは侵害のときの類似・非類似の話

登録商標の使用とは別問題なのです!!

逐条解説にその問題の箇所の説明がありますので、それを参照します。

2条5項の部分の逐条解説(いわゆる青本)を抜粋します。

五項(平成一八年の一部改正で二項から五項へ移動)では「登録商標」の定義をしている。この定義から導かれる結論は、商標登録があった商標は商標権者が使用するときはもちろん、他の何人が使うときでも登録商標であり、また、指定商品又は指定役務に使うときはもちろん、指定商品以外の商品若しくは役務又は指定役務以外の役務若しくは商品に使うときでも登録商標だということである。例えばAという商標について商標登録があったと仮定すると、このAは何人がいかなる商品若しくは役務について使用をするときでも登録商標の使用をするということになる。ただし、これが商標権の侵害になるかどうかは二五条等の規定から導かれる問題であって、この定義のみから直接に導かれるものではない。

shouhyou.pdf (jpo.go.jp)
さかいろ
さかいろ

分かるかな??

結局、指定商品以外の商品=化粧品に使うときでも、登録商標の使用と言えるってことだね。

受験生みーこ
受験生みーこ

なるほど~

だれがどんな商品に使おうとも、登録商標を使用しているなら、それは登録商標の使用となるんだね。

さかいろ
さかいろ

はい、そうです!

今回、商品が全く別の「化粧品」ではあるものの、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は2条3項2号に該当するよね。登録商標の使用となるよね!

なので答え×です。

1 登録商標イの商標権者が、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は、登録商標の使用に該当しない。

答え×

理由:指定商品が「ボールペン」等で「化粧品」とは商品非類似であるものの、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は2条3項2号に該当するため、登録商標の使用に該当する(∵逐条解説 2条5項)

R05 短答 商標1

2 登録商標イの商標権者以外の者であって外国にある者が、登録商標イと同一の商標を付したボールペンを日本国内で販売するために外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為は、登録商標の使用に該当する。

さかいろ
さかいろ

あれ?これ特許の方でも似たような問題出てましたよね!

受験生みーこ
受験生みーこ

えー、多すぎて忘れちゃったよ・・・

さかいろ
さかいろ

任せて~ちょっと調べてみます!

短答・R05・特実6(イ)です!

「輸入」の行為について出題されております^^

詳細が気になる方はこちら↓

とりあえず結論だけ知りたい方はコレ↓

R05/短答/特実6(イ) 特許法には、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む)又は譲渡等の申出をする行為は、いずれも発明の実施にあたると規定されている。

答え×

理由:カッコ書きの箇所は、意匠・商標の改正部分であり、特許法ではこの改正はされていないため。∵特許法2条3項1号、意匠法2条2項1号カッコ書き、商標法2条7項

受験生みーこ
受験生みーこ

そうだった!そんな問題あった!!

さかいろ
さかいろ

思い出してくれて良かった^^

R3意匠・商標法の改正箇所です。ざっくり、この改正により輸入概念を拡大しました!!

輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む)

ポイントはざっくり「輸入」概念の拡大!

  • R3・意匠・商標の改正
    • 海外事業者が、日本国内に、他人(例えば配送業者など)に模倣品を持ち込ませる行為が、「輸入」行為に含まれることになった!
  • 改正の背景
    • 模倣品を「業として」輸入する行為は、権利侵害!が、近年は、直接、個人に模倣品が販売される例が増加
    • しかし、個人で使用する目的で模倣品を輸入する行為は、「業として」の要件を欠き、権利侵害を問うのが難しかった。
    • また、個人使用目的での輸入を仮装しての輸入が横行している実情もあった。
  • 改正により
    • 輸入の概念が拡大され、意匠権・商標権の行使(特に税関での輸入差止)を行いやすくなる!
  • 特許法・実用新案法ではその改正なし
    • 1つの製品・部品に多数の発明が用いられている場合が多く煩雑のため。
    • 税関での差止件数も少ない為。

念のため、商標法での条文も確認!商標法2条3項2号、7だね。

(定義等)

第二条 

 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

 この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

商標法 | e-Gov法令検索

ということで、答え○ですね!

2 登録商標イの商標権者以外の者であって外国にある者が、登録商標イと同一の商標を付したボールペンを日本国内で販売するために外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為は、登録商標の使用に該当する。

答え○

理由:輸入概念が拡大により、輸入行為に該当し、使用となる(商標法2条3項2号、7項)

R05 短答 商標1

3 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の標章を付したマガジンラックを、その者が業としてではなく個人で使用するために製作する行為は、登録商標の使用に該当しない。

受験生みーこ
受験生みーこ

これは、分かるかも!

「業として」ではなく「個人使用」だから、使用には該当しないよね!

さかいろ
さかいろ

はい、その通りです!

根拠条文も併せて見てみましょう!

2条1項1号です。

(定義等)

第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

商標法 | e-Gov法令検索

あくまでも「業として」使用していたら、登録商標の使用だね。でも、「個人使用」であれば、関係ないよね。

ということで、答え○

3 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の標章を付したマガジンラックを、その者が業としてではなく個人で使用するために製作する行為は、登録商標の使用に該当しない。

答え○

理由:「個人使用」であるため、登録商標の使用とならない(∵2条1項1号)

R05 短答 商標1

4 登録商標イが文字、図形及び色彩を構成要素とする商標である場合に、登録商標イに類似する商標であって、色彩を登録商標イと同一にするものとすれば登録商標イと同一の商標であると認められるものを付した消しゴムを登録商標イの商標権者が製造し、販売する行為は、登録商標の使用に該当する。

受験生みーこ
受験生みーこ

色違いってことは、類似範囲での使用が、登録商標の使用に該当するかって質問だよね!

さかいろ
さかいろ

はい、その通りです!

受験生みーこ
受験生みーこ

直感で○なんだけど

さかいろ
さかいろ

根拠条文がよく分からなくって悩んでいたのですが、コメントから商標法70条では?とアドバイス頂きました~

受験生みーこ
受験生みーこ

わー!

初コメント!

パチパチパチ・・・

さかいろ
さかいろ

ということで、すっかり忘れてしまっていた色違い商標の根拠条文70条を確認してみましょう!

コメント頂いた方、本当にありがとうございます。

(登録商標に類似する商標等についての特則)

第七十条 第二十五条、第二十九条、第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十一条の二第一項、第三十四条第一項、第三十八条第一項第二号若しくは第三項から第五項まで、第五十条、第五十二条の二第一項、第五十九条第一号、第六十四条、第七十三条又は第七十四条における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。

 第四条第一項第十二号又は第六十七条における「登録防護標章」には、その登録防護標章に類似する標章であつて、色彩を登録防護標章と同一にするものとすれば登録防護標章と同一の標章であると認められるものを含むものとする。

 第三十七条第一号又は第五十一条第一項における「登録商標に類似する商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含まないものとする。

 前三項の規定は、色彩のみからなる登録商標については、適用しない。

(商標権の効力)

第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

商標法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

70条1項は、ある特定の条文にかぎり、色違い類似商標は登録商標と同一として適用することが規定されています。

色違い類似商標は登録商標と同一として適用するので、設問のようなパターンでの色違い商標の使用は、登録商標の使用に該当するということになりと思いますので、答え○

4 登録商標イが文字、図形及び色彩を構成要素とする商標である場合に、登録商標イに類似する商標であって、色彩を登録商標イと同一にするものとすれば登録商標イと同一の商標であると認められるものを付した消しゴムを登録商標イの商標権者が製造し、販売する行為は、登録商標の使用に該当する。

答え○

理由:色違い商標の使用は、登録商標の使用に該当するため(∵70条1項+25条かな?)

R05 短答 商標1

5 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の商標を付したハンドバッグを日本国内で販売するために自らの荷物として外国から日本国内に持ち込む行為は、登録商標の使用に該当する

受験生みーこ
受験生みーこ

さっき、輸入の概念拡大したって話してたよね!

ってことだし、自分の荷物として持ち込むのはOKじゃない!?

さかいろ
さかいろ

そう思ってしまいそうになるところなのですが・・・

「日本国内で販売するために」って書いてるよね!

ということは・・・やっぱり「輸入」に該当するよね。

ということで、答え○

5 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の商標を付したハンドバッグを日本国内で販売するために自らの荷物として外国から日本国内に持ち込む行為は、登録商標の使用に該当する

答え○

理由:自分の荷物として持ち込むようだが、「日本国内で販売するために」持ち込むので輸入に該当して、登録商標の使用に該当するため

まとめ(R05短答・商標1)

【商標】1
指定商品を「ボールペン,消しゴム,マガジンラック,ハンドバッグ」とする登録商標イの使用に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。


1 登録商標イの商標権者が、登録商標イと同一の商標を化粧水の容器に付して販売する行為は、登録商標の使用に該当しない。


2 登録商標イの商標権者以外の者であって外国にある者が、登録商標イと同一の商標を付したボールペンを日本国内で販売するために外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為は、登録商標の使用に該当する。


3 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の標章を付したマガジンラックを、その者が業としてではなく個人で使用するために製作する行為は、登録商標の使用に該当しない。


4 登録商標イが文字、図形及び色彩を構成要素とする商標である場合に、登録商標イに類似する商標であって、色彩を登録商標イと同一にするものとすれば登録商標イと同一の商標であると認められるものを付した消しゴムを登録商標イの商標権者が製造し、販売する行為は、登録商標の使用に該当する。


5 登録商標イの商標権者以外の者が、登録商標イと同一の商標を付したハンドバッグを日本国内で販売するために自らの荷物として外国から日本国内に持ち込む行為は、登録商標の使用に該当する

答え:1

理由:1のみ×。その他○

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

コメント

  1. きあ より:

    枝4の根拠は商70条…?

    • sakaben-room sakaben-room より:

      コメントありがとうございます。
      初コメントです。
      アドバイスを元に枝4の解説を修正させて頂きました。
      またお気づきの箇所がございましたら、コメントお待ちしております。

      • きあ より:

        お役に立てて何よりです。

        実は私もこういう試験関連ブログに初めてコメントしました笑

        丁寧な解説ありがとうございます!大変参考になります!(ご無理なさらないように…)

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