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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】6
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【商標】6
商標の登録異議の申立てに関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 登録異議申立制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占権の行使を認める結果となることの是正を趣旨としており、その商標登録を取り消すことについて利害関係を有する者に限り、登録異議の申立てをすることができるものである。
(ロ) 立体商標の商標登録出願に係る願書に記載された商標の詳細な説明が明確性に欠け、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとしても、商標登録をすべき旨の査定がされ、商標権の設定登録がされたものについては、それを理由として登録異議の申立てをすることはできない。
(ハ) 共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断の原因がある場合でも、審判官とその他の共有者との間で手続が進められることから、その中断は、共有者全員についてその効力を生ずるものではない。
(ニ) 商標登録を取り消すべき旨の決定に対する訴えに係る事件について、東京高等裁判所が5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない。
(ホ) 商標登録を維持すべき旨の決定に対しては、不服を申し立てることができないとされており、当該決定の確定後において、登録異議申立人がその登録異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づいて商標登録の無効の審判を請求することは、一事不再理効が及び許されない。question.pdf (jpo.go.jp)
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
イ
(イ) 登録異議申立制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占権の行使を認める結果となることの是正を趣旨としており、その商標登録を取り消すことについて利害関係を有する者に限り、登録異議の申立てをすることができるものである。
これは、×!
だって、利害関係人じゃなくてもできるから!
はい、その通りです!
素晴らしいです!
異議申立は、公益的見地から認められている制度なので、「何人」もできるのです!
早速条文で確認してみましょう!
(登録異議の申立て)
第四十三条の二 何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる。
商標法 | e-Gov法令検索
条文でも、「何人」も異議申立できる!となっていますね。
これは、特許でも同様なのですが、公益的見地から「何人」も異議申立できる!となっているのです。「公益的見地」もポイントとなるので、覚えておきましょう!
(イ) 登録異議申立制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占権の行使を認める結果となることの是正を趣旨としており、その商標登録を取り消すことについて利害関係を有する者に限り、登録異議の申立てをすることができるものである。
答え×
理由:利害関係人のみではなく、「何人」も異議申立できるため(43条の2第1項)
ロ
(ロ) 立体商標の商標登録出願に係る願書に記載された商標の詳細な説明が明確性に欠け、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとしても、商標登録をすべき旨の査定がされ、商標権の設定登録がされたものについては、それを理由として登録異議の申立てをすることはできない。
うーーん、明確性違反が異議申立理由になるか?だよね。
たしか、特許でも、明確性違反は異議申立理由になっていたよね!
ということは、答え×なのでは・・・???
はい、その通りです。
特許でも同じことに良く気が付きましたね!
さっそく商標法の異議申立理由について、確認しましょう!
商標では、1~3号に該当すると、異議申立できるんだね。その中の3号を見てもらいたいのですが・・・明確性(=5条5項)違反は異議申立可能であることの根拠条文になります。
特許でも同様、明確性違反は異議申立可能ですよね。
(登録異議の申立て)
第四十三条の二 ・・・省略・・・
一 その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条の規定に違反してされたこと。
二 その商標登録が条約に違反してされたこと。
三 その商標登録が第五条第五項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたこと。
(商標登録出願)
第五条
5 前項の記載及び物件は、商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない。
商標法 | e-Gov法令検索
ちなみに、「明確性違反」は
●異議申立理由
●無効理由
●拒絶理由
と全てに該当します!
併せて覚えておきましょう!
(ロ) 立体商標の商標登録出願に係る願書に記載された商標の詳細な説明が明確性に欠け、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとしても、商標登録をすべき旨の査定がされ、商標権の設定登録がされたものについては、それを理由として登録異議の申立てをすることはできない。
答え×
理由:明確性(=5条5項)違反は異議申立可能である(∵43条の2第1項3号)
ハ
(ハ) 共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断の原因がある場合でも、審判官とその他の共有者との間で手続が進められることから、その中断は、共有者全員についてその効力を生ずるものではない。
えー、これはどうだろ?
共有なのに勝手に手続きとか進められて、取消決定とかなったら最悪じゃない?
ということは・・・答え×なんじゃない??
はい、そうです!
共有に係る商標権で、そのうちの1人に中断原因ありのときは、共有者全員が中断となります(他の共有者が勝手に進めて、意図と違う状態になったらダメなので)!
早速条文で確認しましょう。
(審理の方式等)
第四十三条の六
3 共有に係る商標権の商標権者の一人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。
商標法 | e-Gov法令検索
共有の場合、1人にでも中断原因があれば、全員に影響を与える旨規定されています!
中断・中止について、審判便覧に記載があるので、参考にしてみて下さい。ポイントをまとめると、
- 手続の停止とは、一定の事由が存在する場合に、それが消滅するまで一切の手続を停止することをいう。
- 停止には、中断と中止とがある。
- 中断とは、審判手続中に、当事者が交代しなければならない事由が発生したとき、新しい当事者が手続に関与できるようになるまでの間、手続の進行を停止して、その当事者の利益を保護するための制度
- 当事者が死亡
- 法人の合併による中断
- 破産法による中断
- 中止とは、特許庁又は当事者において審判手続の続行が不能又は不適当となった場合に法律上当然に又は特許庁長官又は合議体の決定によって生じるもので、法定の中止事由は、以下のとおりである。
- 天災その他の事由による特特許庁の職務執行不能
- 共有に係る商標権の商標権者の一人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる(∵43条の6第3項)。
共有者全員についてその効力を生ずるため(∵43条の6第3項)、答え×
(ハ) 共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断の原因がある場合でも、審判官とその他の共有者との間で手続が進められることから、その中断は、共有者全員についてその効力を生ずるものではない。
答え×
理由:共有者全員についてその効力を生ずるため(∵43条の6第3項)
ニ
(ニ) 商標登録を取り消すべき旨の決定に対する訴えに係る事件について、東京高等裁判所が5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない。
えーーーー、わかんなーい!
ちょっと、実は私も分かりませんでした・・・
調べてみたので、ポイントだけまとめます。
特許法では、異議申立の取消決定の訴えに係る事件について、5人の裁判官の合議体でできるらしいんですが(特許法182条の2第1項)、なんとそれを商標法は準用していないのです(商標法63条2項で不準用)!
なので、商標では、異議申立の取消決定の訴えに係る事件について、5人の裁判官の合議体でできないみたい・・・
(合議体の構成)
第百八十二条の二 第百七十八条第一項の訴えに係る事件については、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
(審決等に対する訴え)
第百七十八条 取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
特許法 | e-Gov法令検索
(審決等に対する訴え)
第六十三条 取消決定又は審決に対する訴え、第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する第十六条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴え及び登録異議申立書又は審判若しくは再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2 特許法第百七十八条第二項から第六項まで(出訴期間等)及び第百七十九条から第百八十二条まで(被告適格、出訴の通知等、審決取消訴訟における特許庁長官の意見、審決又は決定の取消し及び裁判の正本等の送付)の規定は、前項の訴えに準用する。この場合において、同法第百七十九条中「特許無効審判若しくは延長登録無効審判」とあるのは、「商標法第四十六条第一項、第五十条第一項、第五十一条第一項、第五十二条の二第一項、第五十三条第一項若しくは第五十三条の二の審判」と読み替えるものとする。
商標法 | e-Gov法令検索
特許法の準用は182条までとなっており、182条の2の準用はなし!!
えーーーやだやだー細かい!!
私も覚えていませんでした・・・反省。
(ニ) 商標登録を取り消すべき旨の決定に対する訴えに係る事件について、東京高等裁判所が5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない。
答え○
理由:特許法では、異議申立の取消決定の訴えに係る事件について、5人の裁判官の合議体でできるが(特許法182条の2第1項)、商標法はこれを準用していないため(商標法63条2項で不準用)
ホ
(ホ) 商標登録を維持すべき旨の決定に対しては、不服を申し立てることができないとされており、当該決定の確定後において、登録異議申立人がその登録異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づいて商標登録の無効の審判を請求することは、一事不再理効が及び許されない。
異議申立と無効審判との間で一事不再理ってどうだったっけ??
特許法も同じなので、一緒に確認しましょう!
特許法・・・無効審判での一事不再理の規定(第167条)は、異議申立に設けられていないため、異議申立では一事不再理効は生じない。無効審判と異議申立との間においても一事不再理効は生じない。
(審決の効力)
第百六十七条 特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
特許法 | e-Gov法令検索
商標法でも、特許法167条は準用されています。なので、商標法でも特許法と同じく、無効審判での一事不再理の規定(特許法第167条)は、異議申立に設けられていないため、異議申立では一事不再理効は生じない。無効審判と異議申立との間においても一事不再理効は生じない。となります!
(特許法の準用)
第五十六条 特許法第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項(第二号及び第三号を除く。)、第百三十二条から第百三十三条の二まで、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十四条まで、第百五十五条第一項及び第二項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百五十八条、第百六十条第一項及び第二項、第百六十一条、第百六十七条並びに第百六十八条から第百七十条まで(審決の効果、審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係及び審判における費用)の規定は、審判に準用する。この場合において、同法第百三十一条の二第一項第一号中「特許無効審判以外の審判を請求する場合における前条第一項第三号に掲げる請求の理由」とあるのは「商標法第四十六条第一項の審判以外の審判を請求する場合における同法第五十六条第一項において準用する特許法第百三十一条第一項第三号に掲げる請求の理由」と、同法第百三十二条第一項及び第百六十七条中「特許無効審判又は延長登録無効審判」とあり、並びに同法第百四十五条第一項及び第百六十九条第一項中「特許無効審判及び延長登録無効審判」とあるのは「商標法第四十六条第一項、第五十条第一項、第五十一条第一項、第五十二条の二第一項、第五十三条第一項又は第五十三条の二の審判」と、同法第百五十六条第一項中「特許無効審判以外の審判においては、事件が」とあるのは「事件が」と、同法第百六十一条中「拒絶査定不服審判」とあり、及び同法第百六十九条第三項中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは「商標法第四十四条第一項又は第四十五条第一項の審判」と読み替えるものとする。
2 特許法第百五十五条第三項(審判の請求の取下げ)の規定は、第四十六条第一項の審判に準用する。
商標法 | e-Gov法令検索
(ホ) 商標登録を維持すべき旨の決定に対しては、不服を申し立てることができないとされており、当該決定の確定後において、登録異議申立人がその登録異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づいて商標登録の無効の審判を請求することは、一事不再理効が及び許されない。
答え×
理由:特許法と同じく、無効審判と異議申立との間で一事不再理効は生じない(∵商標法56条)
まとめ(R05短答・商標6)
【商標】6
商標の登録異議の申立てに関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 登録異議申立制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占権の行使を認める結果となることの是正を趣旨としており、その商標登録を取り消すことについて利害関係を有する者に限り、登録異議の申立てをすることができるものである。
(ロ) 立体商標の商標登録出願に係る願書に記載された商標の詳細な説明が明確性に欠け、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとしても、商標登録をすべき旨の査定がされ、商標権の設定登録がされたものについては、それを理由として登録異議の申立てをすることはできない。
(ハ) 共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断の原因がある場合でも、審判官とその他の共有者との間で手続が進められることから、その中断は、共有者全員についてその効力を生ずるものではない。
(ニ) 商標登録を取り消すべき旨の決定に対する訴えに係る事件について、東京高等裁判所が5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない。
(ホ) 商標登録を維持すべき旨の決定に対しては、不服を申し立てることができないとされており、当該決定の確定後において、登録異議申立人がその登録異議の申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づいて商標登録の無効の審判を請求することは、一事不再理効が及び許されない。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
答え:1
理由:ニのみ○。他×
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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