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弁理士試験 短答 過去問 令和4年度【特許/実案】2
【特許・実用新案】2
訂正審判、特許無効審判及び延長登録無効審判並びにその不服申立ての手続に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 特許法第 67 条第2項の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録の出願)における拒絶をすべき理由のうち、特許法第 125 条の2第1項に規定される延長登録無効審判を請求することができる理由とされていない理由はない。
(ロ) 特許無効審判の審決に対する訴えの審理において、東京高等裁判所は、当事者の申立てにより、その事件の争点の性質を考慮して、必要があると認めるときは、広く一般に対して、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
(ハ) 特許無効審判において被請求人が提出した答弁書が不適法なものであってその補正をすることができないものとして決定をもって却下された場合、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる。
(ニ) 審判長は、当事者双方から申立てがあれば、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、特許無効審判の口頭審理の期日における手続を行わなければならない。
(ホ) 特許権者は、訂正審判を請求するにあたり、原則として当該特許権についての通常実施権者の承諾を得る必要はないが、当該通常実施権者がいわゆる独占的通常実施権者である場合は、その者の承諾を得る必要がある。question.pdf (jpo.go.jp)
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
イ
(イ) 特許法第 67 条第2項の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録の出願)における拒絶をすべき理由のうち、特許法第 125 条の2第1項に規定される延長登録無効審判を請求することができる理由とされていない理由はない。
何回読んでも日本語の意味が分からないんだけど・・・
どういう意味??
実は最初私も意味が分からなかった・・・分かりにくい文章だよね、ホント。
何回か読んでみて、
「拒絶理由のうち、無効理由とされていない理由はない」
つまり、設問では「拒絶理由=無効理由となっているかどうか」を聞きたい!ということが分かりました。
なるほど!
そういう意味だったんだ。
延長出願のときに、拒絶理由=無効理由となっているかどうか考えたら良いんだね!
はい、そうです!
あと、期間補償の延長って何だったっけ・・・
それでは、延長制度について、まず復習しましょう!
延長制度は、2パターンあったよね!
- 特許権の存続期間の延長登録制度
- 期間補償のための延長 67条2項
- 審査の遅延等により、特許権の設定登録が想定よりもかなり遅くなってしまった場合などを想定
- TPP12協定で「特許出願から特許付与までの期間に不合理な遅延があった場合には、特許権者の請求により、不合理な遅延について補償すべく、特許権の存続期間を調整(延長)すべき」との要請により規定された
- 特許権の設定の登録が基準日以後にされたときは、延長登録の出願により延長することができる。
- 安全性確保等のための延長 67条4項
- 医薬品の分野等では、安全性確保の観点から、他の法律により許可等の処分がおりないと実施できない場合あり。その救済措置のための制度。
- 期間補償のための延長 67条2項
実際の条文はコチラ↓
(存続期間)
第六十七条
2 前項に規定する存続期間は、特許権の設定の登録が特許出願の日から起算して五年を経過した日又は出願審査の請求があつた日から起算して三年を経過した日のいずれか遅い日(以下「基準日」という。)以後にされたときは、延長登録の出願により延長することができる。
4 第一項に規定する存続期間(第二項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの。第六十七条の五第三項ただし書、第六十八条の二及び第百七条第一項において同じ。)は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。
特許法 | e-Gov法令検索
そうだった!!
今回は、期間補償の延長=2項の方だね!
ということは、期間補償のための延長について、拒絶理由=無効理由となっているかだね!
はい。そうです。
条文で確認してみましょう!
第六十七条の三 審査官は、第六十七条第二項の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その特許権の設定の登録が基準日以後にされていないとき。
二 その延長を求める期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
三 その出願をした者が当該特許権者でないとき。
四 その出願が前条第四項に規定する要件を満たしていないとき。
(延長登録無効審判)
第百二十五条の二 第六十七条の三第三項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
一 その延長登録が基準日以後にされていない場合の出願に対してされたとき。
二 その延長登録により延長された期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
三 その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
四 その延長登録が第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
特許法 | e-Gov法令検索
ということで、期間補償のための延長の場合は、
拒絶理由=無効理由となっていますね!
なので、答え○となります
(イ) 特許法第 67 条第2項の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録の出願)における拒絶をすべき理由のうち、特許法第 125 条の2第1項に規定される延長登録無効審判を請求することができる理由とされていない理由はない。
答え○
理由:期間補償のための延長の場合は、拒絶理由=無効理由となっているため(∵67条の3第1項各号=125条の2第1項各号)
ロ
(ロ) 特許無効審判の審決に対する訴えの審理において、東京高等裁判所は、当事者の申立てにより、その事件の争点の性質を考慮して、必要があると認めるときは、広く一般に対して、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
な、なんか改正で入った制度だったような・・・
一般から意見を聞く制度だったよね??
なんていう制度だったっけ・・・?
「第三者意見募集制度」です!
令和3年の特許法改正で導入された制度です。
正確にはコチラ↓ざっくり読むだけでも参考になると思います。
条文でいうとコチラ↓
(第三者の意見)
第百五条の二の十一 民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
2 民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
3 当事者は、裁判所書記官に対し、前二項の規定により提出された書面の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。
4 民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項及び第二項の規定により提出された書面の閲覧及び謄写について準用する。
特許法 | e-Gov法令検索
もっとザックリで良いんだけど・・・
もっとザックリとは、
当事者による証拠収集手続き。
対象は特許権侵害訴訟等。
審決取消訴訟等は対象じゃない!
なるほど!
ということは、無効審判の審決取消訴訟は対象じゃないよね!
答え×だね!
(ロ) 特許無効審判の審決に対する訴えの審理において、東京高等裁判所は、当事者の申立てにより、その事件の争点の性質を考慮して、必要があると認めるときは、広く一般に対して、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
答え×
理由:審決取消訴訟は、第三者意見募集制度の対象ではないため(∵105条の2の11より特許権侵害訴訟等が対象)
ハ
(ハ) 特許無効審判において被請求人が提出した答弁書が不適法なものであってその補正をすることができないものとして決定をもって却下された場合、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる。
ああ・・・苦手なやつきた・・・
不適法な補正、決定却下、審決却下・・・このあたりごちゃごちゃなってて苦手なんだよね。
分かります・・・
私も受験生時代とても苦手でした・・・
1つずつ理解していきましょう!
「答弁書が不適法なものであってその補正をすることができないもの」って何だろう?
例えば、答弁書を提出する期間が過ぎてしまった場合とかです。
期間経過は不適法だし補正できないですよね!
確かに!
そういった場合は133条の2により、審判長が決定により却下します。
(不適法な手続の却下)
第百三十三条の二 審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
3 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
特許法 | e-Gov法令検索
なるほど!
で、行政不服審査法で不服申立できるのかな?
はい、できます。
行政処分なので、行政不服審査法で不服申立できます。
ということで、答え○
(ハ) 特許無効審判において被請求人が提出した答弁書が不適法なものであってその補正をすることができないものとして決定をもって却下された場合、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる。
答え○
理由:133条の2により、審判長が決定により却下となる。決定却下に対しては、行政不服審査法上の不服申立てができるため。
ニ
(ニ) 審判長は、当事者双方から申立てがあれば、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、特許無効審判の口頭審理の期日における手続を行わなければならない。
無効審判のオンライン化かな?
コロナ対応とかでできるようになってそうな予感。
はい。
新設された条文ですね!
早速条文を確認してみましょう!
(審判における審理の方式)
第百四十五条 特許無効審判及び延長登録無効審判は、口頭審理による。ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。
2 前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
3 審判長は、第一項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。
4 民事訴訟法第九十四条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。
5 第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。
6 審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第三項の期日における手続を行うことができる。
7 第三項の期日に出頭しないで前項の手続に関与した当事者及び参加人は、その期日に出頭したものとみなす。
特許法 | e-Gov法令検索
こちらのサイトも参考になったので↓
特許法第145条に第6項が新設され、審判請求人等の希望も踏まえ、審判長の判断で、審判請求人等がウェブ会議システムにより、口頭審理期日における手続を行うことができるようになりました。
特許無効審判等の口頭審理でオンライン出頭が可能になります (METI/経済産業省)
また、特許法第145条に第7項が新設され、ウェブ会議システムにより口頭審理に関与した審判請求人等は、口頭審理に出頭したものとみなされることになります。
オンライン出頭は、あくまでも「できる」わけで、「しなければいけない」という訳ではないんだよね!
なので、答え×
新設された条文とかは、ちゃんと見とかなきゃね!
出題されやすいよね!!
(ニ) 審判長は、当事者双方から申立てがあれば、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、特許無効審判の口頭審理の期日における手続を行わなければならない。
答え×
理由:オンライン出頭は、あくまでも「できる」わけで、「しなければいけない」という訳ではないため(∵145条6項)
ホ
(ホ) 特許権者は、訂正審判を請求するにあたり、原則として当該特許権についての通常実施権者の承諾を得る必要はないが、当該通常実施権者がいわゆる独占的通常実施権者である場合は、その者の承諾を得る必要がある。
わ!これも法改正のところでは!?
たしか、訂正審判の請求のときには、実施権者の承諾が不要になったんだったよね??
はい、その通りです!
早速条文を確認してみましょう!
第百二十七条 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。
特許法 | e-Gov法令検索
法改正前は、専用実施権者、質権者以外にも、許諾による通常実施権者等の承諾が必要だったのですが、改正により、不要となり、条文がスッキリしました!
訂正審判による訂正が確定すると、基本的には、特許権の範囲は狭くなるので、通常実施権者まで承諾必要だったのですが、通常実施権者まで追い切れない(複雑化)ということで、不要となりました。
独占的通常実施権者も、法律上は通常実施権者なので、不要です。
参考にコチラ↓
(ホ) 特許権者は、訂正審判を請求するにあたり、原則として当該特許権についての通常実施権者の承諾を得る必要はないが、当該通常実施権者がいわゆる独占的通常実施権者である場合は、その者の承諾を得る必要がある。
答え×
理由:法改正により、通常実施権者(独占的通常実施権者も法律上は通常実施権者)の承諾は不要となったため(∵127条)
法改正のところは頻繁に出題されるんだね!!
要チェックだね!
まとめ(R04短答・特許/実案2)
【特許・実用新案】2
訂正審判、特許無効審判及び延長登録無効審判並びにその不服申立ての手続に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 特許法第 67 条第2項の延長登録の出願(いわゆる期間補償のための延長登録の出願)における拒絶をすべき理由のうち、特許法第 125 条の2第1項に規定される延長登録無効審判を請求することができる理由とされていない理由はない。
(ロ) 特許無効審判の審決に対する訴えの審理において、東京高等裁判所は、当事者の申立てにより、その事件の争点の性質を考慮して、必要があると認めるときは、広く一般に対して、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
(ハ) 特許無効審判において被請求人が提出した答弁書が不適法なものであってその補正をすることができないものとして決定をもって却下された場合、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる。
(ニ) 審判長は、当事者双方から申立てがあれば、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、特許無効審判の口頭審理の期日における手続を行わなければならない。
(ホ) 特許権者は、訂正審判を請求するにあたり、原則として当該特許権についての通常実施権者の承諾を得る必要はないが、当該通常実施権者がいわゆる独占的通常実施権者である場合は、その者の承諾を得る必要がある。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
答え:2
理由:イとハが○。その他×のため
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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