弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【意匠】7【出願変更とパリ優効果など】

短答・令和5年度
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さかいろ
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次、弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【意匠】7にいきます!

意匠6が気になる方はこちらへ^^

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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【意匠】7

令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集

【意匠】7
意匠法に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、他の条件は考慮しないこととする。すなわち、文中に記載した場合を除いては、各出願は、関連意匠、分割又は変更に係るものでも、冒認の出願でも、補正後の意匠についての新出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正も名義変更もされていないものとする。また、文中に記載した優先権の主張は有効なものとし、文中に記載した場合を除いては、優先権の主張は存在せず、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。


1 甲は、令和5年3月1日にパリ条約の同盟国に正規かつ最先の実用新案登録出願Aを行い、出願Aに基づく優先権を主張して令和5年 10 月1日に日本国に実用新案登録出願Bをした。甲が実用新案登録出願Bを意匠登録出願Cに変更した場合、出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる。


2 互いに類似する意匠イと意匠ロについて、意匠イに係る意匠登録出願と意匠ロに係る意匠登録出願が同日にあった場合、これらの出願は、出願人の異同にかかわらず意匠法に規定される協議の対象となる。


3 互いに類似する意匠イと意匠ロについて同日にそれぞれ意匠登録出願がされ、意匠イに係る出願A及び意匠ロに係る出願Bについて協議不成立により拒絶の査定が確定した。出願Aと出願Bの協議不成立による意匠公報に関し、出願時に意匠ロのみに2年の期間を指定して秘密意匠の請求がされていた場合、出願Bのみについて、当該2年の経過後に意匠ロの内容が意匠公報に掲載される。


4 意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。


5 国際登録を基礎とした意匠権に質権が設定されているときは、その意匠権を有する者は、質権者の承諾を得ることなくその意匠権を放棄することができない

question.pdf (jpo.go.jp)

1

R05・短答・意7

1 甲は、令和5年3月1日にパリ条約の同盟国に正規かつ最先の実用新案登録出願Aを行い、出願Aに基づく優先権を主張して令和5年 10 月1日に日本国に実用新案登録出願Bをした。甲が実用新案登録出願Bを意匠登録出願Cに変更した場合、出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる。

受験生みーこ
受験生みーこ

これは何が聞きたいんだろう・・・よくわかんない。

さかいろ
さかいろ

これは、出願変更したとき、パリ優先の効果がどうなるのか聞きたいんだね!

そのためには、まずパリ条約4条の優先期間は覚えてるかな??

受験生みーこ
受験生みーこ

特・実は12ヶ月

意・商は6ヶ月

だよね!!

さかいろ
さかいろ

はい、大正解です!

パリ条約4条C(1)ですね^^

設問では、実→意の出願変更となるので、優先期間が6ヶ月なの?12ヶ月なの??どっち!?を聞きたいんだね!

受験生みーこ
受験生みーこ

意匠にあわせたら6ヶ月だし、実案にあわせたら12ヶ月だし・・・どっちなるんだろ??

受験生みーこ
受験生みーこ

出願A→Bの期間も、ちょうど微妙な7ヶ月・・・

さかいろ
さかいろ

そう!出題者はそこを聞きたいんですよね!!

これは、パリ条約4条E(1)に答えがあり、実→意出願変更場合、意匠について定められた優先期間6ヶ月になっております。

そりゃそうだよね。もし、実→意が12ヶ月もあったら、意→意が6ヶ月で、最初意匠出願した人はパリ優できないのに、最初実案出願していた人だけパリ優効かせて意匠出願に変更できるなんて、なんかズルくないですか?

ということで、期間の短い方に合わせているんですね!冷静に考えると当たり前ですよね。

なので、設問では出願A→出願Bが6ヶ月以上経っていますので、優先権の効果は認められないですよね。答えは×

パリ条約の優先期間
  • 原則
    • 特・実は12ヶ月意・商は6ヶ月パリ条約4条C(1)
  • 出願変更があった場合
    • 実→意の場合、意匠について定められた優先期間6ヶ月パリ条約4条E(1)

第4条 優先権

C.(1) A(1)に規定する優先期間は,特許及び実用新案については12箇月,意匠及び商標については6箇月とする。

E.(1) いずれかの同盟国において実用新案登録出願に基づく優先権を主張して意匠登録出願をした場合には,優先期間は,意匠について定められた優先期間とする。

パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

1 甲は、令和5年3月1日にパリ条約の同盟国に正規かつ最先の実用新案登録出願Aを行い、出願Aに基づく優先権を主張して令和5年 10 月1日に日本国に実用新案登録出願Bをした。甲が実用新案登録出願Bを意匠登録出願Cに変更した場合、出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる。

答え×

理由:実→意の場合、意匠について定められた優先期間6ヶ月になっており(パリ条約4条E(1))、出願A→Bが6ヶ月以上経っていますので、優先権の効果は認められない。

2

R05・短答・意7

2 互いに類似する意匠イと意匠ロについて、意匠イに係る意匠登録出願と意匠ロに係る意匠登録出願が同日にあった場合、これらの出願は、出願人の異同にかかわらず意匠法に規定される協議の対象となる。

さかいろ
さかいろ

これは、同日出願の話だね^^

受験生みーこ
受験生みーこ

特許法だったら39条の先願のとこだったよね!!

意匠法は何条だっけ??

さかいろ
さかいろ

そういう場合に四法対照の法文集は分かりやすいですよ^^

特・実・意・商と対比されて記載されているので!

意匠法は9条です!!

(先願)

第九条 

 同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。

意匠法 | e-Gov法令検索

同一・類似の意匠が同日にあった場合は、協議の対象になるんだったね(意匠法9条2項)!

なので、答え○

2 互いに類似する意匠イと意匠ロについて、意匠イに係る意匠登録出願と意匠ロに係る意匠登録出願が同日にあった場合、これらの出願は、出願人の異同にかかわらず意匠法に規定される協議の対象となる。

答え○

理由:意匠法9条2項

3

R05・短答・意7

3 互いに類似する意匠イと意匠ロについて同日にそれぞれ意匠登録出願がされ、意匠イに係る出願A及び意匠ロに係る出願Bについて協議不成立により拒絶の査定が確定した。出願Aと出願Bの協議不成立による意匠公報に関し、出願時に意匠ロのみに2年の期間を指定して秘密意匠の請求がされていた場合、出願Bのみについて、当該2年の経過後に意匠ロの内容が意匠公報に掲載される。

受験生みーこ
受験生みーこ

これは×だよ~簡単やーん!

だって、片方だけ秘密にしたって意味ないやーん!

さかいろ
さかいろ

直感的、感覚的に×ですよね!

正しい直感だと思います。

でも、条文でも確認しましょうね^^

秘密意匠 公報関連
  • 秘密意匠・・・設定登録の日から3年を限度に意匠の内容を秘密にできる制度(14条1項)
  • 公報発行①
    • 設定登録後、書誌的事項のみ掲載登録意匠の内容は秘密
  • 公報発行②
    • 秘密期間経過後、登録意匠の内容等、掲載される。
  • 同日出願で協議不成立(秘密意匠が含まれる状態で)→拒絶査定確定
    • 秘密期間の長い方にあわせる。長い方の秘密期間経過後に、実質的な内容の公報が掲載(66条3項)。

(意匠公報)

第六十六条 特許庁は、意匠公報を発行する。

 意匠公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。

 意匠権の消滅(存続期間の満了によるもの及び第四十四条第四項の規定によるものを除く。)又は回復(第四十四条の二第二項の規定によるものに限る。)

 審判若しくは再審の請求若しくはその取下げ又は審判若しくは再審の確定審決(意匠権の設定の登録がされたものに限る。)

 裁定の請求若しくはその取下げ又は裁定

 第五十九条第一項の訴えについての確定判決(意匠権の設定の登録がされたものに限る。)

 前項に規定するもののほか、第九条第二項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。この場合において、その意匠登録出願の中に第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠登録出願があるときは、全ての意匠登録出願に関する第三号に掲げる事項は、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した日から同項の規定により指定した期間(秘密にすることを請求した意匠登録出願が二以上ある場合には、そのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。

 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

 意匠登録出願の番号及び年月日

 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容

 前三号に掲げるもののほか、必要な事項

意匠法 | e-Gov法令検索

3 互いに類似する意匠イと意匠ロについて同日にそれぞれ意匠登録出願がされ、意匠イに係る出願A及び意匠ロに係る出願Bについて協議不成立により拒絶の査定が確定した。出願Aと出願Bの協議不成立による意匠公報に関し、出願時に意匠ロのみに2年の期間を指定して秘密意匠の請求がされていた場合、出願Bのみについて、当該2年の経過後に意匠ロの内容が意匠公報に掲載される

答え×

理由:秘密期間の長い方にあわせる。長い方の秘密期間経過後に、実質的な内容の公報が掲載(66条3項)ため、Bのみが×。Aも含めて2年経過後に公報掲載が○

4

R05・短答・意7

4 意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

受験生みーこ
受験生みーこ

裁判所に係属中に分割できたっけ・・・どうだったっけ??

さかいろ
さかいろ

条文で確認しましょう!

意匠法10条の2です。

(意匠登録出願の分割)

第十条の二 意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

意匠法 | e-Gov法令検索

意匠法では、出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、分割可能となります(∵10条の2)。なので、拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属中に分割は×ですよね。

受験生みーこ
受験生みーこ

ええ~、でもなんかそんな条文があったような無かったような・・・

さかいろ
さかいろ

はい。

実は商標の場合は、分割可能となるのです(商標法10条)

なので、もし商標法での質問だったら○だったかもしれませんね!

(商標登録出願の分割)

第十条 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。

商標法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

分割の時期的要件を四法で対比してみました^^

分割の時期的要件 4法対比
  • 特許・実用新案(特許法44条)
    • 補正可能な時又は期間内
    • 特許査定謄本送達日から30日以内
    • 最初の拒絶査定謄本送達日から3ヶ月以内
  • 意匠(意匠法10条の2)
    • 審査、審判又は再審に係属している場合に限り
  • 商標(商標法10条)
    • 審査、審判若しくは再審に係属している場合
    • 拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合+手数料を納付している場合に限り

特許出願の分割)

第四十四条 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。

 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。

 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。

特許法 | e-Gov法令検索

4 意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

答え×

理由:審査、審判又は再審に係属している場合に限り分割可能(∵意匠法10条の2)

5

R05・短答・意7

5 国際登録を基礎とした意匠権に質権が設定されているときは、その意匠権を有する者は、質権者の承諾を得ることなくその意匠権を放棄することができない

さかいろ
さかいろ

意匠権の放棄に、質権者の承諾いるんかなー、いらんのかなー?!

受験生みーこ
受験生みーこ

普通はいるよね。でも国際登録を基礎としたらどうなんだろう・・・・

さかいろ
さかいろ

そう、そこが出題者の意図だよね。

早速条文を確認しましょう!

(意匠権の放棄の特例)

第六十条の十七 国際登録を基礎とした意匠権を有する者は、その意匠権を放棄することができる。

 国際登録を基礎とした意匠権については、第三十六条において準用する特許法第九十七条第一項の規定は、適用しない

意匠法 | e-Gov法令検索

(特許権等の放棄)

第九十七条 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

 専用実施権者は、質権者又は第七十七条第四項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる。

 通常実施権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができる。

特許法 | e-Gov法令検索

普通の意匠権の場合は、この特許法97条1項を準用するので、「意匠権者は、質権者があるときは承諾を得た場合に限り、意匠権を放棄できる」となるよね!

でも、国際登録を基礎とした意匠権については、この特許法97条1項を準用しないので、承諾は不要となるよね(意匠法60条の17第2項)

なので、答え×

5 国際登録を基礎とした意匠権に質権が設定されているときは、その意匠権を有する者は、質権者の承諾を得ることなくその意匠権を放棄することができない

答え×

理由:国際登録を基礎とした意匠権については、この特許法97条1項を準用しないので、承諾は不要となる(意匠法60条の17第2項)

まとめ(R05短答・意匠7)

【意匠】7
意匠法に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、各設問で言及した条件のみに基づいて判断し、他の条件は考慮しないこととする。すなわち、文中に記載した場合を除いては、各出願は、関連意匠、分割又は変更に係るものでも、冒認の出願でも、補正後の意匠についての新出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正も名義変更もされていないものとする。また、文中に記載した優先権の主張は有効なものとし、文中に記載した場合を除いては、優先権の主張は存在せず、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。


1 甲は、令和5年3月1日にパリ条約の同盟国に正規かつ最先の実用新案登録出願Aを行い、出願Aに基づく優先権を主張して令和5年 10 月1日に日本国に実用新案登録出願Bをした。甲が実用新案登録出願Bを意匠登録出願Cに変更した場合、出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる。


2 互いに類似する意匠イと意匠ロについて、意匠イに係る意匠登録出願と意匠ロに係る意匠登録出願が同日にあった場合、これらの出願は、出願人の異同にかかわらず意匠法に規定される協議の対象となる。


3 互いに類似する意匠イと意匠ロについて同日にそれぞれ意匠登録出願がされ、意匠イに係る出願A及び意匠ロに係る出願Bについて協議不成立により拒絶の査定が確定した。出願Aと出願Bの協議不成立による意匠公報に関し、出願時に意匠ロのみに2年の期間を指定して秘密意匠の請求がされていた場合、出願Bのみについて、当該2年の経過後に意匠ロの内容が意匠公報に掲載される。


4 意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。


5 国際登録を基礎とした意匠権に質権が設定されているときは、その意匠権を有する者は、質権者の承諾を得ることなくその意匠権を放棄することができない

答え:2

理由:2のみ○。その他×

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