弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】10【TRIPS協定】

短答・令和5年度
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さかいろ
さかいろ

弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】10に行きます^^

条約もこれでラスト~~

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】10

令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集

【条約】10
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(以下「TRIPS協定」という。)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。


1 TRIPS協定のいかなる規定も、加盟国が、実施許諾等における行為又は条件であって、特定の場合において、関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。


2 加盟国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定めるTRIPS協定第2部の規定に従うことを条件として、当該使用に対する救済措置を、許諾の経済的価値を考慮し、特許権者に対する、個々の場合における状況に応じた適当な報酬の支払に限定することができる。


3 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用の許諾は、その許諾をもたらした状況が存在しなくなり、かつ、その状況が再発しそうにない場合には、当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として、取り消すことができる。


4 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用について提供される報酬に関する決定は、加盟国において司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない。


5 後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって、貿易関連知的所有権理事会に対してTRIPS協定第 31 条の2及び附属書に規定する制度(以下「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告を行ったものは、当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため、自国のとり得る手段の範囲内で、かつ、自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて、当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとらなければならない

question.pdf (jpo.go.jp)
さかいろ
さかいろ

条約9に続き、TRIPS協定に関する出題だね!!

受験生みーこ
受験生みーこ

えー・・・苦手

1

R05 短答 条約10

1 TRIPS協定のいかなる規定も、加盟国が、実施許諾等における行為又は条件であって、特定の場合において、関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。

受験生みーこ
受験生みーこ

もう初っぱなから意味不明・・・

さかいろ
さかいろ

実は私も・・・

受験時代もっとも苦手なのは条約でした・・・

調べなきゃ分かんないです・・・

TRIPS協定のコチラですね!

第8節 契約による実施許諾等における反競争的行為の規制

第40条

(2) この協定のいかなる規定も,加盟国が,実施許諾等における行為又は条件であって,特定の場合において,関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。このため,加盟国は,自国の関連法令を考慮して,このような行為又は条件(例えば,排他的なグラント・バック条件,有効性の不争条件及び強制的な一括実施許諾等を含むことができる。)を防止し又は規制するため,この協定の他の規定に適合する適当な措置をとることができる。

TRIPS協定 3 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
さかいろ
さかいろ

TRIPS協定 40条は、権利の濫用の防止規定です。

例えば、強い国(先進国とか)が、途上国で実施許諾を通じて独占しようとする・・・みたいなのを抑制するための規定のようです。

1 TRIPS協定のいかなる規定も、加盟国が、実施許諾等における行為又は条件であって、特定の場合において、関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。

答え○

理由:TRIPS協定 40条(2)

2

R05 短答 条約10

2 加盟国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定めるTRIPS協定第2部の規定に従うことを条件として、当該使用に対する救済措置を、許諾の経済的価値を考慮し、特許権者に対する、個々の場合における状況に応じた適当な報酬の支払に限定することができる。

受験生みーこ
受験生みーこ

おお!

これは、国内法で言う「裁定通常実施権」のことやん!

さかいろ
さかいろ

そうそう!

条約も、国内法で落とし込んで考えれば、分かりやすいよね!

受験生みーこ
受験生みーこ

裁定による通常実施権は、ライセンス料もらえるのもあったよね、確か!

だから答え○だよね!

さかいろ
さかいろ

はい、私もそう思います!

条文で確認してみましょう。

第31条 特許権者の許諾を得ていない他の使用

加盟国の国内法令により,特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用(政府による使用又は政府により許諾された第三者による使用を含む。)(注)を認める場合には,次の規定を尊重する。

(h) 許諾の経済的価値を考慮し,特許権者は,個々の場合における状況に応じ適当な報酬を受ける

TRIPS協定 3 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

2 加盟国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定めるTRIPS協定第2部の規定に従うことを条件として、当該使用に対する救済措置を、許諾の経済的価値を考慮し、特許権者に対する、個々の場合における状況に応じた適当な報酬の支払に限定することができる。

答え○

理由:TRIPS協定 第31条(h)

3

R05 短答 条約10

3 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用の許諾は、その許諾をもたらした状況が存在しなくなり、かつ、その状況が再発しそうにない場合には、当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として、取り消すことができる。

受験生みーこ
受験生みーこ

裁定の通常実施権は、状況が変わったときに取消できるかってことだよね!

さかいろ
さかいろ

確か国内法にもコレに基づく規定がありましたよね!

(裁定の取消し)

第九十条 特許庁長官は、第八十三条第二項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に、裁定の理由の消滅その他の事由により当該裁定を維持することが適当でなくなつたとき、又は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしないときは、利害関係人の請求により又は職権で、裁定を取り消すことができる

(不実施の場合の通常実施権の設定の裁定)

第八十三条 特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。

 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。

特許法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

不実施の裁定の場合は、その人が使わなかったりしたときに裁定を取り消すコトができるんだったね!(特許法90条1項)

受験生みーこ
受験生みーこ

そうそう!

さかいろ
さかいろ

では、TRIPS協定でも当然同じような規定がありそうですよね??

こちら、TRIPS協定 31条(g) です!

第31条 特許権者の許諾を得ていない他の使用

加盟国の国内法令により,特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用(政府による使用又は政府により許諾された第三者による使用を含む。)(注)を認める場合には,次の規定を尊重する。

(g) 他の使用の許諾は,その許諾をもたらした状況が存在しなくなり,かつ,その状況が再発しそうにない場合には,当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として,取り消すことができるものとする。権限のある当局は,理由のある申立てに基づき,その状況が継続して存在するかしないかについて検討する権限を有する。

TRIPS協定 3 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

なので答え○

3 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用の許諾は、その許諾をもたらした状況が存在しなくなり、かつ、その状況が再発しそうにない場合には、当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として、取り消すことができる。

答え○

理由:TRIPS協定 31条(g)

4

R05 短答 条約10

4 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用について提供される報酬に関する決定は、加盟国において司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない。

受験生みーこ
受験生みーこ

国内法でいう「対価の額」の訴えだよね?

てことは、いずれにも服しない訳ないよね!

さかいろ
さかいろ

はい、そうだと思います。

受験生みーこ
受験生みーこ

ということは、コレが答え×だね!

分かりやすいので、国内法から確認します。国内法では、対価の額かどうかで訴えを提起する方法が異なっていたんでしたよね!

  • 通常実施権の裁定自体に不服がある場合
    • 行政不服審査法等による訴えを提起
  • 裁定で定める対価の額について不服がある場合(∵特許法183条1項)
    • 地方裁判所に訴えを提起

なので、「司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない」との箇所がおかしいと思うので、答え×と思うのですが、TRIPS協定では、どうなっているか確認しましょう。

第31条 特許権者の許諾を得ていない他の使用

加盟国の国内法令により,特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用(政府による使用又は政府により許諾された第三者による使用を含む。)(注)を認める場合には,次の規定を尊重する。

(j) 他の使用について提供される報酬に関する決定は,加盟国において司法上の審査又は他の独立の審査(別個の上級機関によるものに限る。)に服する。

TRIPS協定 3 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

TRIPS協定 第31条(j)では、「司法上の審査又は他の独立の審査」となっていますよね。

なので、やはりあたりを付けておいたとおり、答え×

4 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用について提供される報酬に関する決定は、加盟国において司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない。

答え×

理由:TRIPS協定 第31条(j)では、「司法上の審査又は他の独立の審査」となっているため。

5

R05 短答 条約10

5 後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって、貿易関連知的所有権理事会に対してTRIPS協定第 31 条の2及び附属書に規定する制度(以下「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告を行ったものは、当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため、自国のとり得る手段の範囲内で、かつ、自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて、当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとらなければならない

受験生みーこ
受験生みーこ

全然分かんない・・・

さかいろ
さかいろ

・・・ですね。

TRIPS協定の付属書のところに該当条文があったので、みてみましょう。

附属書

(3) 輸入する資格を有する加盟国は,当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため,自国のとり得る手段の範囲内で,かつ,自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて,当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとる。輸入する資格を有する加盟国であって開発途上加盟国又は後発開発途上加盟国であるものがこの(3)の規定を実施することが困難である場合には,先進加盟国は,その実施を促進するため,要請に応じ,かつ,相互に合意した条件により,技術協力及び資金協力を提供する。

TRIPS協定 8 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

ということで、答え○

5 後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって、貿易関連知的所有権理事会に対してTRIPS協定第 31 条の2及び附属書に規定する制度(以下「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告を行ったものは、当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため、自国のとり得る手段の範囲内で、かつ、自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて、当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとらなければならない

答え○

理由:TRIPS協定の付属書 (3)

まとめ(R05短答・条約10)

【条約】10
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(以下「TRIPS協定」という。)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。


1 TRIPS協定のいかなる規定も、加盟国が、実施許諾等における行為又は条件であって、特定の場合において、関連する市場における競争に悪影響を及ぼすような知的所有権の濫用となることのあるものを自国の国内法令において特定することを妨げるものではない。


2 加盟国は、政府又は政府の許諾を受けた第三者が権利者の許諾を得ないで行う使用について、当該使用を明示的に定めるTRIPS協定第2部の規定に従うことを条件として、当該使用に対する救済措置を、許諾の経済的価値を考慮し、特許権者に対する、個々の場合における状況に応じた適当な報酬の支払に限定することができる。


3 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用の許諾は、その許諾をもたらした状況が存在しなくなり、かつ、その状況が再発しそうにない場合には、当該他の使用の許諾を得た者の正当な利益を適切に保護することを条件として、取り消すことができる。


4 特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用について提供される報酬に関する決定は、加盟国において司法上の審査及び他の独立の審査のいずれにも服しない。


5 後発開発途上加盟国並びにその他の加盟国であって、貿易関連知的所有権理事会に対してTRIPS協定第 31 条の2及び附属書に規定する制度(以下「当該制度」という。)を輸入国として利用する意図を有する旨の通告を行ったものは、当該制度の下で輸入される医薬品がその輸入の基礎を成す公衆の健康のために使用されることを確保するため、自国のとり得る手段の範囲内で、かつ、自国の行政上の能力及び貿易の転換の生ずる危険度に応じて、当該制度の下で自国の領域に実際に輸入された医薬品の再輸出を防止するための合理的な措置をとらなければならない

答え:4

理由:4のみ×。その他○のため

受験生みーこ
受験生みーこ

1問だけ×選べ問題だったので、なんとか答えられたケド・・・

難しかった・・・

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

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