弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】5に行きます^^
これも条約1~4に引き続き、PCTからの出題!
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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】5
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【条約】5
特許法に規定する国際特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 外国語特許出願については、出願人が要約の日本語による翻訳文を国内書面提出期間内に提出しない場合であって、補正命令に応答しなかったときは、特許庁長官が自ら翻訳文を作成しなければならない。
2 外国語特許出願については、特許協力条約第 34 条(2)(b)の規定に基づく補正をしたとき、国内処理基準時の属する日までに、当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなかったときでも、特許法第 17 条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
3 在外者である国際特許出願の出願人は、当該出願の出願審査の請求をした後であっても、国内書面提出期間内であれば、特許管理人によらないで手続をすることができる。
4 外国語特許出願については、所定の書面及び所定の翻訳文を提出し、かつ、納付すべき手数料を納付した後であって国内処理基準時を経過した後でなければ、仮専用実施権の登録を受けることができない。question.pdf (jpo.go.jp)
5 発明の新規性喪失の例外の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日までに限り、特許庁長官に提出することができる
1
1 外国語特許出願については、出願人が要約の日本語による翻訳文を国内書面提出期間内に提出しない場合であって、補正命令に応答しなかったときは、特許庁長官が自ら翻訳文を作成しなければならない。
なんか・・・長官が要約を作成出来る場合ってなかったっけ??
それは多分、PCTとは関係無さそうですね。
そちらは、ややこしくなるといけないので後で述べることにしますね!
まずは、PCT出願のときに、翻訳文が不提出の場合どうなるか?ですが・・・
外国語でされた国際特許出願のことを、「外国語特許出願」というんでしたね!この「外国語特許出願」では、翻訳文を提出する必要があるのですが、それぞれの場合で効果が違うんでしたよね!
まとめて確認しましょう!
- 明細書、請求の範囲の翻訳文を不提出
- 取下げ擬制(∵184条の4第3項)
- 図面の中の説明の翻訳文を不提出
- 図面の中の説明は無かったものとなる
- 取下げ擬制されるわけじゃないので注意!!←よく出題される!!
- 要約の翻訳文を不提出
- 補正命令(∵184の5第2項4号)→長官の裁量で出願却下できる(∵184の5第3項)
(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)
第百八十四条の四
3 国内書面提出期間(第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この条において同じ。)内に第一項に規定する明細書の翻訳文及び前二項に規定する請求の範囲の翻訳文(以下「明細書等翻訳文」という。)の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。
(書面の提出及び補正命令)
第百八十四条の五
2 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 前項の規定により提出すべき書面を、国内書面提出期間内に提出しないとき。
二 前項の規定による手続が第七条第一項から第三項まで又は第九条の規定に違反しているとき。
三 前項の規定による手続が経済産業省令で定める方式に違反しているとき。
四 前条第一項の規定により提出すべき要約の翻訳文を、国内書面提出期間(前条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)内に提出しないとき。
五 第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を国内書面提出期間内に納付しないとき。
3 特許庁長官は、前項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、当該国際特許出願を却下することができる。
特許法 | e-Gov法令検索
ということで、要約の翻訳文を提出せず、その後の補正命令にも従わなかったら、
長官の裁量で出願却下できる(∵184の5第3項)んだね!
ということで、答え×
なるほど~
ところで、何度も聞いてゴメン
長官が要約を修正するみたいな規定ってなかったっけ?スッキリしなくって。
それは日本の普通の特許出願の場合ですね!
これのことかな?
(出願公開)
第六十四条
3 特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。
(特許出願)
第三十六条
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
特許法 | e-Gov法令検索
特許庁長官は、必要な場合は、出願人作成の要約書に代えて、自ら作成した事項を公報に掲載することができます。この場合、公報の要約の欄には、(修正有)と表示されます。
PCTとは全然関係ないけどね・・・併せて覚えておきましょう!
それそれ~
スッキリした。
ありがとう~
1 外国語特許出願については、出願人が要約の日本語による翻訳文を国内書面提出期間内に提出しない場合であって、補正命令に応答しなかったときは、特許庁長官が自ら翻訳文を作成しなければならない。
答え×
理由:要約の翻訳文を提出せず、その後の補正命令にも従わなかったら、長官の裁量で出願却下できる(∵184の5第3項)
2
2 外国語特許出願については、特許協力条約第 34 条(2)(b)の規定に基づく補正をしたとき、国内処理基準時の属する日までに、当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなかったときでも、特許法第 17 条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
何か「みなされる場合」ってあるのかな~
場合があるっていわれたら、何か○っぽい気がしちゃうんだけど。
いや、残念ながら、これは「みなされる場合」はなしです。
(条約第三十四条に基づく補正)
第百八十四条の八 国際特許出願の出願人は、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定により補正書の写し又は補正書の翻訳文が提出されたときは、その補正書の写し又は補正書の翻訳文により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、日本語特許出願に係る補正につき条約第三十六条(3)(a)の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。
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外国語特許出願では、34条補正されたら、その補正書の翻訳文を、特許庁長官に提出しなければなりません。その翻訳文が第十七条の二第一項の規定による補正となるからです。条文を確認しても例外はなさそうです。
じゃあ、34条補正されたけど、提出しなかったらどうなるのって疑問が出てくると思いますが、国内処理基準時の属する日までに補正書の翻訳文が提出されなかった場合には、当該補正はされなかったものとみなされます。
一方、日本語特許出願では、補正書が特許庁に送達される場合もあり、そのような場合には、除外されるような規定ぶりとなっております。ということで、日本語特許出願では、例外ありなので、もし設問で、日本語特許出願では・・・となっていたら、答え○だったかと思います。(今回は、外国語特許出願では・・・なので答え×)
2 外国語特許出願については、特許協力条約第 34 条(2)(b)の規定に基づく補正をしたとき、国内処理基準時の属する日までに、当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなかったときでも、特許法第 17 条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
答え×
理由:その補正書の翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならないため(∵184の8第1項+2項)
3
3 在外者である国際特許出願の出願人は、当該出願の出願審査の請求をした後であっても、国内書面提出期間内であれば、特許管理人によらないで手続をすることができる。
在外者の特許管理人についてか・・・どうだったっけ??
っていうか、フツーの場合で特許管理人について、どうだったけ?
そうですね!
まず、普通の場合(=日本の特許法)の在外者の特許管理人について、見ていきましょう!
特許法8条に規定があります!
(在外者の特許管理人)
第八条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。
2 特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。
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まず、「在外者」ってどんな人だったか、覚えてる?
「在外者」は、日本国内に住所または居所(法人なら営業所)を有しない者!
だったよね!!
はい、そうです!
「在外者」は、日本国民か、外国人かは関係ありません。
このあたりも出題されるので、併せて覚えておきましょう!!
そして、在外者は、特許管理人を代理人としない限り手続き等ができないんでしたね!
ただし、例外があり、政令で定める場合、つまり、特許管理人を有する在外者が日本に滞在している場青(特施令1条)や、国際特許出願の場合は国内処理基準時までは在外者が自ら手続きできる、という規定になっていたんだったよね!!
今回は、国際特許出願の場合が出題されています。
関連条文184条の11を確認してみましょう!
(在外者の特許管理人の特例)
第百八十四条の十一 在外者である国際特許出願の出願人は、国内処理基準時までは、第八条第一項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで手続をすることができる。
2 前項に規定する者は、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出なければならない。
3 特許庁長官は、前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、第一項に規定する者に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。
5 前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げたものとみなされた国際特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。ただし、故意に、第四項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。
7 第四項又は前項の規定によりされた届出は、第二項に規定する期間が満了する時にされた届出とみなす。
8 第一項に規定する者が、特許管理人により第百八十四条の四第四項の規定による手続をしたときは、第二項から前項までの規定は、適用しない。
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従って、在外者であっても、国内処理基準時までは、第八条第一項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで自ら手続をすることができます!
国内処理基準時??
そう、ここがポイントなのですが、
「国内処理基準時」とは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人が出願審査の請求をするときは、その請求の時。)でしたよね!!(∵184の4第6項に定義あり)
今回の設問では、「出願審査の請求をした後」とありますので、「国内処理基準時」を過ぎていることが分かりますよね。ということで、在外者自ら手続きをすることはできなくなるので、答え×
3 在外者である国際特許出願の出願人は、当該出願の出願審査の請求をした後であっても、国内書面提出期間内であれば、特許管理人によらないで手続をすることができる。
答え×
理由:「出願審査の請求をした後」で「国内処理基準時」を過ぎているため、在外者自ら手続きをすることはできなくなる(∵184条の11第1項)
4
4 外国語特許出願については、所定の書面及び所定の翻訳文を提出し、かつ、納付すべき手数料を納付した後であって国内処理基準時を経過した後でなければ、仮専用実施権の登録を受けることができない。
これは条文に合ったような・・・
○なような・・・
はい、これは184条の12の2ですね!
早速見てみましょう!
(特許原簿への登録の特例)
第百八十四条の十二の二 日本語特許出願については第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、第二十七条第一項第四号の規定にかかわらず、仮専用実施権の登録を受けることができない。
特許法 | e-Gov法令検索
日本語特許出願についても、併せて理解しておきましょう!
仮専用実施権の登録について(184条の12の2)
- 日本語特許出願の場合
- 国内書面の提出+手数料の納付
- 外国語特許出願の場合
- 国内書面の提出+翻訳文の提出+手数料の納付+国内処理基準時の経過
ということで、外国語特許出願の場合は、4つの要件(国内書面の提出+翻訳文の提出+手数料の納付+国内処理基準時の経過)があり、そのまんま設問に記載されているため、答え○
4 外国語特許出願については、所定の書面及び所定の翻訳文を提出し、かつ、納付すべき手数料を納付した後であって国内処理基準時を経過した後でなければ、仮専用実施権の登録を受けることができない。
答え○
理由:184条の12の2通り
5
5 発明の新規性喪失の例外の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日までに限り、特許庁長官に提出することができる
これは×だよね!
だって、国内処理基準時までにしなきゃいけないとか、絶対無理だもん!
はい、×です。
これも184関係からの出題ですね!
さっそく条文みてみましょう。
まず、国内出願(=普通の場合)はどうだったというと・・・特許法30条に規定ありで、
新規性喪失の例外の適用を受ける旨(=その旨)を記載した書面・・・特許出願と同時に提出
証明書面・・・出願日から30日以内に提出
でしたよね。これをそのまま国際特許出願に適用するとあまりにも酷なので、このように特例規定が定められていて、
(発明の新規性の喪失の例外の特例)
第百八十四条の十四 第三十条第二項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が第三十条第二項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第三項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。
特許法 | e-Gov法令検索
新規性喪失の例外の適用を受ける旨(=その旨)を記載した書面 & 証明書面・・・国内処理基準時の属する日後、30日以内に提出(∵184条の14)
となっております。ですので、答え×ですよね。
5 発明の新規性喪失の例外の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日までに限り、特許庁長官に提出することができる
答え×
理由:新規性喪失の例外の適用を受ける旨(=その旨)を記載した書面 & 証明書面は、国内処理基準時の属する日後、30日以内に提出(∵184条の14)
まとめ(R05短答・条約5)
【条約】5
特許法に規定する国際特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 外国語特許出願については、出願人が要約の日本語による翻訳文を国内書面提出期間内に提出しない場合であって、補正命令に応答しなかったときは、特許庁長官が自ら翻訳文を作成しなければならない。
2 外国語特許出願については、特許協力条約第 34 条(2)(b)の規定に基づく補正をしたとき、国内処理基準時の属する日までに、当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなかったときでも、特許法第 17 条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
3 在外者である国際特許出願の出願人は、当該出願の出願審査の請求をした後であっても、国内書面提出期間内であれば、特許管理人によらないで手続をすることができる。
4 外国語特許出願については、所定の書面及び所定の翻訳文を提出し、かつ、納付すべき手数料を納付した後であって国内処理基準時を経過した後でなければ、仮専用実施権の登録を受けることができない。
5 発明の新規性喪失の例外の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日までに限り、特許庁長官に提出することができる
答え:4
理由:4のみ○。その他×
条約カテゴリーの出題でしたが、全て184関係の条文で解ける問題でした!
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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