弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】7に行きます^^
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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】7
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【条約】7
パリ条約のストックホルム改正条約(以下「パリ条約」という。)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 優先権は、発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては、最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、否認することができない。
(ロ) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとするというパリ条約の規定は、優先期間中に出願された特許が、無効又は消滅の理由については、独立のものであるという意味に解釈しなければならないが、通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。
(ハ) 優先権の主張の基礎となる出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名は、権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載することを要しない。
(ニ) 各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには、保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
(ホ) 優先権の期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は、その間に行われた行為によって不利な取扱いを受けないものとし、また、当該行為は、第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。question.pdf (jpo.go.jp)
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
イ
(イ) 優先権は、発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては、最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、否認することができない。
パリ条約の優先権に関する質問だよね!
なんか言い方だ独特で慣れない・・・
ですよね・・・
これは、優先権に関する規定、パリ条約4条Hです!
なんとなく条約そのまんまっぽいんやけど・・・・
よーく読んで下さいね!
条約から確認してみましょう。
H.優先権は,発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては,否認することができない。ただし,最初の出願に係る出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされている場合に限る。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
パリ条約4条Hでどういうことを規定されているかというと・・・・
- パリ条約 4条H
- 優先権はどこから発生するのか(客体の同一性)を規定→出願書類の全体から優先権発生!
- 優先権主張の基礎出願の明細書のみに記載された発明でも(たとえ請求の範囲に記載なしでも)、優先権主張の基礎とできる!
- ただし、最初の出願に係る出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされている場合にのみ適用(明細書等に記載なしなら、さすがに優先権は発生しない)
ポイントは、出願書類の全体から優先権発生!ってとこだね。
なので、設問の「最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、」の部分が×ですよね
明らかにされてたら○なんだね~
(イ) 優先権は、発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては、最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、否認することができない。
答え×
理由:「最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、」の部分が×のため(∵パリ条約 4条H)
ロ
(ロ) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとするというパリ条約の規定は、優先期間中に出願された特許が、無効又は消滅の理由については、独立のものであるという意味に解釈しなければならないが、通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。
前半は合ってそうなんだけど、後半の「存続期間」についてが怪しいよね!
はい、その通り。
早速パリ条約を確認してみましょう!
パリ条約 4条の2
第4条の2 各国の特許の独立
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
- (1) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は,他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとする。
- (2) (1)の規定は,絶対的な意味に,特に,優先期間中に出願された特許が,無効又は消滅の理由についても,また,通常の存続期間についても,独立のものであるという意味に解釈しなければならない。
- パリ条約 4条の2
- 各国の特許がそれぞれ独立していることを規定
- 独立とは、権利の発生、変更、消滅、存続期間等について、他国特許に従属しないということ
- 他国で拒絶されたことを理由として、拒絶されたりはしない(拒絶の審査結果を参考にして、その国でも同じ判断はありえますが)
存続期間についても独立なんだね!
ということで、前半は○だけど、後半の「通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。」が×なので、答え×
(ロ) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとするというパリ条約の規定は、優先期間中に出願された特許が、無効又は消滅の理由については、独立のものであるという意味に解釈しなければならないが、通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。
答え×
理由:「通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。」が×のため(∵パリ条約 4条の2)
ハ
(ハ) 優先権の主張の基礎となる出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名は、権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載することを要しない。
公報に、基礎出願の日付とか国名とか記載されているの見たことある!
だから、きっと×な気がする!
はい、そうですね!
パリ条約を見てみましょう。
第4条 優先権
D.(1) 最初の出願に基づいて優先権を主張しようとする者は,その出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名を明示した申立てをしなければならない。各同盟国は,遅くともいつまでにその申立てをしなければならないかを定める。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
(2) (1)の日付及び国名は,権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載する。
基礎出願の日付と国名は、必ずしないといけない手続きなんだね!
いつまでにその申立をしないといけないかは、各国の裁量となっているんだね。
我が国では、出願と同時に行うことになっていますよね(特許法43条)
そして、基礎出願の日付と国名は、刊行物に掲載するという規定となっておりますので、答え×となります。
(ハ) 優先権の主張の基礎となる出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名は、権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載することを要しない。
答え×
理由:基礎出願の日付と国名は、刊行物に掲載するという規定のため(∵パリ条約4条D.(2))
ニ
(ニ) 各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには、保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
内国民待遇のことだね!!
はい、そうです。
内国民待遇は、パリ条約の3大原則の1つだね。
ところで、3大原則は覚えている??
うん!
・内国民待遇の原則
・優先権制度
・各国工業所有権の独立の原則
はい、素晴らしいです!
さっそくパリ条約を確認してみましょう。
パリ条約 2条(2)
第2条 同盟国の国民に対する内国民待遇等
(2) もつとも,各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには,保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
内国民待遇というのは、自分の国の国民と同じ待遇をして下さいってヤツでしたよね!
そうそう、そうだった!
同盟国の国民に対して、特別な条件、例えば、その国に住所を有するコトなどを条件づけることが禁止されているんだったね!
といことで、答え○
(ニ) 各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには、保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
答え○
理由:同盟国の国民に対する内国民待遇により、特別な条件、例えば、その国に住所を有するコトなどを条件づけることが禁止されているため(∵パリ条約 2条(2))
ホ
(ホ) 優先権の期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は、その間に行われた行為によって不利な取扱いを受けないものとし、また、当該行為は、第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。
これ、よく見るヤツだ!
条約そのままだよね。
はい、弁理士試験やっていたら、必ず出てくるトコロですよね!
条文を確認しましょう。
第4条 優先権
B.すなわち,A(1)に規定する期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は,その間に行われた行為,例えば,他の出願,当該発明の公表又は実施,当該意匠に係る物品の販売,当該商標の使用等によつて不利な取扱いを受けないものとし,また,これらの行為は,第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。優先権の基礎となる最初の出願の日前に第三者が取得した権利に関しては,各同盟国の国内法令の定めるところによる。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
この超有名なパリ4条Bですね!
ほぼ条文通りで答え○
パリ4条B
- ①その間に行われた行為により不利な取扱いを受けないこと
- 例えば、優先期間中の他の出願により、拒絶されない等
- ②第三者のいかなる権利又は使用の権能を生じさせない
- 第三者の特許権を生じさせなかったり
- 使用行為が他人から追訴されなかったり
(ホ) 優先権の期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は、その間に行われた行為によって不利な取扱いを受けないものとし、また、当該行為は、第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。
答え○
理由:パリ4条B、条文通り
まとめ(R05短答・条約7)
【条約】7
パリ条約のストックホルム改正条約(以下「パリ条約」という。)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 優先権は、発明の構成部分で当該優先権の主張に係るものが最初の出願において請求の範囲内のものとして記載されていないことを理由としては、最初の出願書類の全体により当該構成部分が明らかにされていない場合であっても、否認することができない。
(ロ) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとするというパリ条約の規定は、優先期間中に出願された特許が、無効又は消滅の理由については、独立のものであるという意味に解釈しなければならないが、通常の存続期間についてまで、独立のものであるという意味に解釈する必要はない。
(ハ) 優先権の主張の基礎となる出願の日付及びその出願がされた同盟国の国名は、権限のある官庁が発行する刊行物(特に特許及びその明細書に関するもの)に掲載することを要しない。
(ニ) 各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには、保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
(ホ) 優先権の期間の満了前に他の同盟国においてされた後の出願は、その間に行われた行為によって不利な取扱いを受けないものとし、また、当該行為は、第三者のいかなる権利又は使用の権能をも生じさせない。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
答え:2
理由:ニとホが○。その他×のため
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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