弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】8に行きます^^
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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【条約】8
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【条約】8
パリ条約のストックホルム改正条約に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合、その商標の登録の効力は、失われ、また、その商標に対して与えられる保護は縮減される。
2 各同盟国は、特許、実用新案、意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを、要しない。
3 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は、当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と類似の商品について使用される場合には、適用されない。
4 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張は、不正競争行為として禁止されない。question.pdf (jpo.go.jp)
5 各同盟国は、団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし、また、公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる
1
1 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合、その商標の登録の効力は、失われ、また、その商標に対して与えられる保護は縮減される。
そもそも質問の意図が分かりにくいんだけど・・・
何を聞きたいのかな?
これは、登録商標の一部を変更して使用した場合、登録商標の効力はどうなるの?保護は??ってことを聞いてるわけです。
例えば、日本語部分を英語にするとか、国によって変えなきゃいけない部分ってありますよね。
そういったちょっとした変更をした場合に、登録商標の効力はどうなるの?保護は??ってことなんですが・・・
確かに日本語のままだと外国じゃあ意味通じなくなっちゃうよね!
どうなるの??
パリ条約に規定がありまして、パリ条約5条C.(2)
C.(2) 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合には,その商標の登録の効力は,失われず,また,その商標に対して与えられる保護は,縮減されない。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
登録商標を一部変更して使用しても、
●登録商標の効力は失われない
●登録商標に対して与えられる保護が減縮されない
んですね!!
ただし、その一部の変更ってのは、本質的部分でない範囲での変更や、要部でない部分の変更であることが必要なのですが。それが、識別性に影響を与えないってフレーズに現れているわけですね!
ということで、答え×
1 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合、その商標の登録の効力は、失われ、また、その商標に対して与えられる保護は縮減される。
答え×
理由:「縮減されない」ため(∵パリ条約5条C.(2))
2
2 各同盟国は、特許、実用新案、意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを、要しない。
資料館の設置かあ・・・
義務づけられてそう。
特許庁とかにありそうだよね~
はい、これは義務づけられております!
パリ条約 12条(1)ですね!
第12条 工業所有権の特別の部局,中央資料館の設置等
(1) 各同盟国は,工業所有権に関する特別の部局並びに特許,実用新案,意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを約束する。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
なので、答え×
2 各同盟国は、特許、実用新案、意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを、要しない。
答え×
理由:資料館の設置は義務づけられているため(∵パリ条約 12条(1))
3
3 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は、当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と類似の商品について使用される場合には、適用されない。
日本でも商標法4条1項何号かに記号・印章の規定があったよね!
そうそう!
4条1項5号です!
それと同じような規定ぶりになっているんだけれど・・・
パリでは6条の3
(2) 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は,当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と同一又は類似の商品について使用されるものである場合に限り,適用する。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
記号・印章の禁止規定は、同一のみならず、類似の場合も適用なんだね!
そっか。
類似の範囲までNGなんだね!
日本の商標法4条1項5号はこちら↓
これも類似の範囲までNGとなっているね!
(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
五 日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの
商標法 | e-Gov法令検索
3 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は、当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と類似の商品について使用される場合には、適用されない。
答え×
理由:類似の範囲まで適用されるため(∵パリ 6条の3(2))
4
4 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張は、不正競争行為として禁止されない。
これ、ダメでしょ~
根拠分からないけど、×でしょ~
はい、答え×です。
根拠条文も確認しましょう!
パリ条約10条の2(3)です。
第10条の2 不正競争行為の禁止
(1) 各同盟国は,同盟国の国民を不正競争から有効に保護する。
(2) 工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は,不正競争行為を構成する。
(3) 特に,次の行為,主張及び表示は,禁止される。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
- いかなる方法によるかを問わず,競争者の営業所,産品又は工業上若しくは商業上の活動との混同を生じさせるようなすべての行為
- 競争者の営業所,産品又は工業上若しくは商業上の活動に関する信用を害するような取引上の虚偽の主張
- 産品の性質,製造方法,特徴,用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張
4 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張は、不正競争行為として禁止されない。
答え×
理由:禁止されるため(∵パリ条約10条の2(3))
5
5 各同盟国は、団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし、また、公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる
明らかにコレが○だよね!
根拠分からないけど・・・
はい、コレが○です。
根拠はパリ条約7条の2(2)。
条文そのままだね!
第7条の2 団体商標の保護
(1) 同盟国は,その存在が本国の法令に反しない団体に属する団体商標の登録を認めかつ保護することを約束する。その団体が工業上又は商業上の営業所を有しない場合も,同様とする。
(2) 各同盟国は,団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし,また,公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる。
(3) もつとも,その存在が本国の法令に反しない団体に対しては,保護が要求される同盟国において設立されていないこと又は保護が要求される同盟国の法令に適合して構成されていないことを理由としては,その団体に属する団体商標の保護を拒絶することができない。
パリ条約 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
5 各同盟国は、団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし、また、公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる
答え○
理由:パリ条約7条の2(2) 条文通りのため。
まとめ(R05短答・条約8)
【条約】8
パリ条約のストックホルム改正条約に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合、その商標の登録の効力は、失われ、また、その商標に対して与えられる保護は縮減される。
2 各同盟国は、特許、実用新案、意匠及び商標を公衆に知らせるための中央資料館を設置することを、要しない。
3 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は、当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と類似の商品について使用される場合には、適用されない。
4 産品の性質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張は、不正競争行為として禁止されない。
5 各同盟国は、団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし、また、公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる
答え:5
理由:5のみ○。その他×のため
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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