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弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】4
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【商標】4
商標権の設定登録、移転、消滅等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 地域団体商標に係る商標権は、移転することができる場合がある。
(ロ) 特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないが、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類について、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
(ハ) 商標権の設定の登録があったときは、商標権者に対し商標登録証が交付されるが、商標登録証の交付を受けた者は、商標登録証の再交付を請求できる場合がある。
(ニ) 放棄による商標権の消滅は、商標公報に掲載されるが、存続期間の満了による商標権の消滅及び後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない。question.pdf (jpo.go.jp)
(ホ) 商標権者は、指定商品又は指定商品の包装に登録商標を付する場合は、その登録商標にその商標が登録商標である旨の表示(商標登録表示)を付するように努めなければならないが、登録商標に類似する商標(その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば、登録商標と同一の商標であると認められるものを除く。)の使用をする場合は、その登録商標に類似する商標に商標登録表示を付する行為をしてはならない。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
イ
(イ) 地域団体商標に係る商標権は、移転することができる場合がある。
これは過去問で解いたことあるかも・・・
ポイントは「移転」って書いてるとこだよね!どうかな?
うーん・・・でも、地域団体商標って移転できたっけ??
ちょっと復習したいかも・・・ポイントだけでも。
めちゃくちゃざっくりですが・・・思い出してもらえたかな?
地域団体商標関連の出題頻度の高い部分だけ。
そっか。
地域団体商標は主体が決められているってことは、移転はできないのかも・・・??
着眼点は素晴らしいです!!
が、正確には、地域団体商標は譲渡ができないだけで、移転ができないわけではないのです!
条文で確認してみましょう!
(商標権の移転)
第二十四条の二 商標権の移転は、その指定商品又は指定役務が二以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとに分割してすることができる。
2 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体であつて営利を目的としないものの商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、譲渡することができない。
3 公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者の商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、その事業とともにする場合を除き、移転することができない。
4 地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。
商標法 | e-Gov法令検索
24条の2に商標権の移転の条文があり、その4項に、「地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。」旨規定されています。
つまり、一定の主体的要件を満たす場合にのみ地域団体商標を認めるため、地域団体商標の譲渡はNG。ただし、相続のような一般承継のような場合には、移転が可能となります。
ということで、答え○
(イ) 地域団体商標に係る商標権は、移転することができる場合がある。
答え○
理由:一般承継のような場合には、移転が可能。ただし、譲渡不可(∵24条の2第4項)。
ロ
(ロ) 特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないが、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類について、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
ええ・・・どうだろ・・・合ってるような合ってないような・・・しかも長文・・・
実はこの問題、条文レベルなんですよね!
でも、長文になるとなんだかよく分からなくなりますよね・・・
早速条文を確認してみましょう!
(商標権の設定の登録)
第十八条
4 特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から二月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。
5 特許庁長官は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類又は物件を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
商標法 | e-Gov法令検索
ということで、答えは○
18条4項+5項で条文通りでした。
(ロ) 特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないが、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類について、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
答え○
理由:18条4項+5項で条文通り
ハ
(ハ) 商標権の設定の登録があったときは、商標権者に対し商標登録証が交付されるが、商標登録証の交付を受けた者は、商標登録証の再交付を請求できる場合がある。
登録証の再交付かあ・・・
できるでしょ!?
だって無くす人とか絶対いるやーん!
はい、直感で大正解です!
早速条文で確認しましょう!
(商標登録証等の交付)
第七十一条の二
2 商標登録証又は防護標章登録証の再交付については、経済産業省令で定める。
商標法 | e-Gov法令検索
条文で規定の通り、登録証の再交付は可能です!
そもそも登録証ってどんなやつ??
あれあれ。
額縁とかに入れて商標権取得しましたよーってバーンて入り口とかによく飾っているやつ。
何ソレ?とピンとこない方はこちら↓
特許庁で特・実・意・商の登録証見本をUPしております。
とことで、経済産業省令で何定めてるの??
あ、私も知らない・・・一緒に施行規則を調べてみよう!
経済産業省令!?何ソレ?と思った方はこちら
(特許法施行規則等の準用)
第二十二条
7 特許法施行規則第六十七条(特許証の再交付)の規定は、商標登録証又は防護標章登録証の再交付に準用する。
商標法施行規則 | e-Gov法令検索
ということなので、特許法施行規則を調べると・・・
第六十七条 特許証をよごし、損じ、または失つたときは、特許証の交付を受けた者は、特許証の再交付を請求することができる。ただし、よごし、または損じた場合は、その特許証を提出しなければならない。
特許法施行規則 | e-Gov法令検索
登録証を汚したり、無くしちゃった場合は、再交付できるんですね!
ただし、手元にある場合は、その登録証は返してねってことみたい(無くしちゃった場合はしゃあないけど)
(ハ) 商標権の設定の登録があったときは、商標権者に対し商標登録証が交付されるが、商標登録証の交付を受けた者は、商標登録証の再交付を請求できる場合がある。
答え○
理由:登録証の再交付は可能(∵商標法71条の2)
ニ
(ニ) 放棄による商標権の消滅は、商標公報に掲載されるが、存続期間の満了による商標権の消滅及び後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない。
えーっと、どうだったけ?
消滅の公報掲載は何か一部除かれていたような気が・・・
はい、そうです。
商標権の消滅は、原則公報に掲載されますが、一定の場合は除かれているのです!
さっそく条文を確認しましょう!
商標法75条2項第4号に、商標権の消滅について掲載公報をどうするか規定ありです。
商標権の消滅は、原則、公報に掲載されますが、かっこ書きにより、存続期間の満了と、後期分割登録料不納による消滅の場合は、公報掲載されないのです。これは、その件数が多いため、いちいち公報発行してられない(=無駄を省くため)と言われております。
(商標公報)
第七十五条 特許庁は、商標公報を発行する。
2 商標公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
・・・省略・・・
四 商標権の消滅(存続期間の満了によるもの及び第四十一条の二第六項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定によるものを除く。)
・・・省略・・・
(登録料の分割納付)
第四十一条の二
6 前項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内に後期分割登録料及び第四十三条第三項の規定により納付すべき割増登録料の納付がなかつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす。
商標法 | e-Gov法令検索
というわけで、答え○
(ニ) 放棄による商標権の消滅は、商標公報に掲載されるが、存続期間の満了による商標権の消滅及び後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない。
答え○
理由:商標権の消滅は、原則、公報に掲載されますが、かっこ書きにより、存続期間の満了と、後期分割登録料不納による消滅の場合は、公報掲載されないため(商標法75条2項第4号)
ホ
(ホ) 商標権者は、指定商品又は指定商品の包装に登録商標を付する場合は、その登録商標にその商標が登録商標である旨の表示(商標登録表示)を付するように努めなければならないが、登録商標に類似する商標(その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば、登録商標と同一の商標であると認められるものを除く。)の使用をする場合は、その登録商標に類似する商標に商標登録表示を付する行為をしてはならない。
登録商標の表示が類似でもできるか?ってことだよね・・・
どうだったっけ?
難しいですよね・・・
条文を見ながら確認しましょう。
(商標登録表示)
第七十三条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、経済産業省令で定めるところにより、指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物に登録商標を付するときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示(以下「商標登録表示」という。)を付するように努めなければならない。
商標法 | e-Gov法令検索
条文上は、登録商標と同一の商標にはちゃんとその旨表示してねって規定ありだよね。
類似にまでは規定がない・・・ということで、答えは○となるんだけど、
このことについて、さらに青本では・・・
商標法73条の逐条解説から抜粋↓
また、商標権の正当な権利行使に対してのみ適用されるので、そうでない場合、例えば商標権のうちの禁止権に係る部分を使用するのは正当な権利行使とはいえないため、商標登録表示を付することはできない。もし付した場合には逆に次条及び八〇条によって処罰されることとなる。
shouhyou.pdf (jpo.go.jp)
禁止権、つまり類似範囲では、商標登録表示できないって記載されていますね!
ということで答え○
(ホ) 商標権者は、指定商品又は指定商品の包装に登録商標を付する場合は、その登録商標にその商標が登録商標である旨の表示(商標登録表示)を付するように努めなければならないが、登録商標に類似する商標(その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば、登録商標と同一の商標であると認められるものを除く。)の使用をする場合は、その登録商標に類似する商標に商標登録表示を付する行為をしてはならない。
答え○
理由:登録商標と同一の商標のみにその旨表示する規定あり(∵73条+青本)
まとめ(R05短答・商標4)
【商標】4
商標権の設定登録、移転、消滅等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 地域団体商標に係る商標権は、移転することができる場合がある。
(ロ) 特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないが、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類について、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
(ハ) 商標権の設定の登録があったときは、商標権者に対し商標登録証が交付されるが、商標登録証の交付を受けた者は、商標登録証の再交付を請求できる場合がある。
(ニ) 放棄による商標権の消滅は、商標公報に掲載されるが、存続期間の満了による商標権の消滅及び後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない。
(ホ) 商標権者は、指定商品又は指定商品の包装に登録商標を付する場合は、その登録商標にその商標が登録商標である旨の表示(商標登録表示)を付するように努めなければならないが、登録商標に類似する商標(その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば、登録商標と同一の商標であると認められるものを除く。)の使用をする場合は、その登録商標に類似する商標に商標登録表示を付する行為をしてはならない。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
答え:5
理由:全て○のため、×はなし。
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
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