次、弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】8に行きます^^
商標7が気になる方はこちらへ^^
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【商標】8
令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集【商標】8
商標の審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 「A,B,C」を指定役務とする商標登録出願について、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、当該査定に対して審判を請求したときは、その請求人は、当該出願が当該審判に係属している場合、当該指定役務中「B,C」を削除する補正をすることができる。
(ロ) 商標権が移転された結果、同一の商品について使用をする類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者が、不正競争の目的で指定商品についての登録商標の使用であって他の登録商標の商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるが、当該審判においては、指定商品ごとに取消しを請求することは認められない。
(ハ) 一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。
(ニ) 不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第 50 条第1項)においては、被請求人が、登録商標の使用をしていることの挙証責任を負っている。
(ホ) パリ条約の同盟国において商標権に相当する権利を有する者は、日本国の登録商標が当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、当該権利を有する者の承諾を得ないで当該商標登録出願の日前1年以内にその代理人であった者によってされたものであるときは、商標権の設定の登録の日から5年経過後であっても、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。question.pdf (jpo.go.jp)
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
イ
(イ) 「A,B,C」を指定役務とする商標登録出願について、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、当該査定に対して審判を請求したときは、その請求人は、当該出願が当該審判に係属している場合、当該指定役務中「B,C」を削除する補正をすることができる。
指定商品を削除する補正ってことは、要旨変更では無いし、指定商品の減縮する補正だよね!
じゃあ、補正できるよね!
はい、素晴らしいです!
補正について、ポイントを復習していきましょう!
まず条文確認!!
(手続の補正)
第六十八条の四十 商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
(補正の却下)
第十六条の二 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
商標法 | e-Gov法令検索
設問では、「審判係属中」と記載があるので、補正の時期的要件は○だね
「指定役務中の一部を削除する補正」=減縮補正なので、補正の要旨変更に当たらず、内容的要件も○
なので、答え○
(イ) 「A,B,C」を指定役務とする商標登録出願について、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、当該査定に対して審判を請求したときは、その請求人は、当該出願が当該審判に係属している場合、当該指定役務中「B,C」を削除する補正をすることができる。
答え○
理由:「審判係属中」と記載があるので、補正の時期的要件は○(∵68条の40第1項)。「指定役務中の一部を削除する補正」=減縮補正なので、補正の要旨変更に当たらず、内容的要件も○(∵16条の2第1項+68条の40第1項)
ロ
(ロ) 商標権が移転された結果、同一の商品について使用をする類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者が、不正競争の目的で指定商品についての登録商標の使用であって他の登録商標の商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるが、当該審判においては、指定商品ごとに取消しを請求することは認められない。
商標権の移転があった場合の取消審判のことだよね!
えっと・・・制裁規定だったから、商標権全部が取り消されちゃった気がするんだけど・・・
はい、その通りです!
ですので、答え○なのですが、ポイントを見ていきましょう!
まず、商標には取消審判というのが4つあって、ざっくりまとめると・・・
今回の出題は、この中の「商標権の移転に起因する取消審判(52条の2)」からだね!
条文はこの通り!
第五十二条の二 商標権が移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その一の登録商標に係る商標権者が不正競争の目的で指定商品又は指定役務についての登録商標の使用であつて他の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
2 第五十一条第二項及び前条の規定は、前項の審判に準用する。
商標法 | e-Gov法令検索
ポイントでまとめたとおり、「商標権の移転に起因する取消審判(52条の2)」は、制裁規定なので、商標権全体が取り消されることから、指定商品ごとに取消しを請求することは認められないんだったね!
なので、答え○
(ロ) 商標権が移転された結果、同一の商品について使用をする類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者が、不正競争の目的で指定商品についての登録商標の使用であって他の登録商標の商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるが、当該審判においては、指定商品ごとに取消しを請求することは認められない。
答え○
理由:「商標権の移転に起因する取消審判(52条の2)」は、制裁規定なので、商標権全体が取り消されることから、指定商品ごとに取消しを請求することは認められないため
ハ
(ハ) 一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。
これは、サービス問題!
答え○だよね!
はい、そうです。
なぜ○と思ったのですか?
だって、形式面での不備なのに、無効理由にするのはおかしいから!
完璧です!
まず1商標1出願の6条を見てみましょう。
(一商標一出願)
第六条 商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。
2 前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない。
3 前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。
商標法 | e-Gov法令検索
6条1項を見れば
★1つの出願で、商標1つのみOK
★1つの出願で、複数の商品・役務を指定OK
が分かるよね!
そして、1商標1出願違反は拒絶理由ではあるものの、無効理由・異議理由ではありません。形式的瑕疵にすぎないからです(費用だけの問題。商標等の実体に問題があるのではない)。
ということで、答え○
(ハ) 一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。
答え○
理由:1商標1出願違反は拒絶理由ではあるものの、無効理由・異議理由ではありません。形式的瑕疵にすぎないから
ニ
(ニ) 不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第 50 条第1項)においては、被請求人が、登録商標の使用をしていることの挙証責任を負っている。
挙証責任って何??
立証責任のことです。
被請求人って誰??
請求人が審判を請求する人=権利つぶそうとしている人なので、
被請求人は審判を請求される人=権利を守ろうとする人=商標権者です!
なるほど~
商標権者が立証責任おっているの?どうなの?ってとこが質問なんだね!
そうそう!
さて、どうでしょうか?
まず不使用取消審判の条文を確認します!50条です。
(商標登録の取消しの審判)
第五十条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
2 前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。
3 第一項の審判の請求前三月からその審判の請求の登録の日までの間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をした場合であつて、その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知つた後であることを請求人が証明したときは、その登録商標の使用は第一項に規定する登録商標の使用に該当しないものとする。ただし、その登録商標の使用をしたことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。
商標法 | e-Gov法令検索
50条2項に答えがありますよね。
被請求人(=商標権者)が、登録商標の使用をしていること証明=使用の立証責任は商標権者にあるんですね!
と言うわけで、答え○
(ニ) 不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第 50 条第1項)においては、被請求人が、登録商標の使用をしていることの挙証責任を負っている。
答え○
理由:被請求人(=商標権者)が、登録商標の使用をしていること証明する必要がある(∵50条2項)=登録商標の使用の立証責任は商標権者
ホ
(ホ) パリ条約の同盟国において商標権に相当する権利を有する者は、日本国の登録商標が当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、当該権利を有する者の承諾を得ないで当該商標登録出願の日前1年以内にその代理人であった者によってされたものであるときは、商標権の設定の登録の日から5年経過後であっても、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
あー、コレあれだ!
なんか取消審判の中で一番意味分からんヤツ!
そうそう(笑)
私も一番苦手なヤツです・・・
代理人等の不当登録等に起因する取消審判(53条の2)
第五十三条の二 登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であつた者によつてされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
第五十三条の三 前条の審判は、商標権の設定の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。
商標法 | e-Gov法令検索
他の同盟国で商標に関する権利を有する者の保護を強化することが目的とする規定だったよね。制裁規定なので、商標権全体が取り消されるんだったね。
で、除斥期間ですが、5年経過後は取消審判できないこととなっております(∵53条の3)これは、代理人等の名義による登録であっても、一度登録されてしまうと、それに基づき信用が化体されていくため、除斥期間ありとなっています。
(ホ) パリ条約の同盟国において商標権に相当する権利を有する者は、日本国の登録商標が当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、当該権利を有する者の承諾を得ないで当該商標登録出願の日前1年以内にその代理人であった者によってされたものであるときは、商標権の設定の登録の日から5年経過後であっても、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
答え×
理由:5年経過後は取消審判できないため(∵53条の3)
まとめ(R05短答・商標8)
【商標】8
商標の審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(イ) 「A,B,C」を指定役務とする商標登録出願について、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、当該査定に対して審判を請求したときは、その請求人は、当該出願が当該審判に係属している場合、当該指定役務中「B,C」を削除する補正をすることができる。
(ロ) 商標権が移転された結果、同一の商品について使用をする類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者が、不正競争の目的で指定商品についての登録商標の使用であって他の登録商標の商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるが、当該審判においては、指定商品ごとに取消しを請求することは認められない。
(ハ) 一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。
(ニ) 不使用による商標登録の取消しの審判(商標法第 50 条第1項)においては、被請求人が、登録商標の使用をしていることの挙証責任を負っている。
(ホ) パリ条約の同盟国において商標権に相当する権利を有する者は、日本国の登録商標が当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、当該権利を有する者の承諾を得ないで当該商標登録出願の日前1年以内にその代理人であった者によってされたものであるときは、商標権の設定の登録の日から5年経過後であっても、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
答え:4
理由:ホのみ×。その他○のため
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
コメント