弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】1

短答・令和5年度
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さかいろ
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早速ですが、弁理士試験 短答の過去問(令和5年度)を1つずつ解説していきたいと思います!

全部で60問あるので、だいぶ時間かかると思いますが・・・^^

気長にお付き合い下さい★

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

まずは、弁理士試験の過去問ってどこにあるの?

さかいろ
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弁理士試験は、特許庁のHPで公開されております^^

こちらをご覧下さい!

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弁理士試験は、無料で過去問+解答まで見ることができます!

なので、とりあえず、どんなもんか見てみたい人は、こちら↓特許庁のHPをご確認下さいね!

問題の多さにビックリされると思います・・・・

弁理士試験 短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】1

さかいろ
さかいろ

では、さっそく短答 過去問 令和5年度【特許・実用新案】1を見ていきます!!

令和5年度弁理士試験
短 答 式 筆 記 試 験 問 題 集

【特許・実用新案】1

特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。


(イ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が軽微なものである場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。


(ロ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が、特許法第 17 条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないことが明らかな場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。


(ハ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正があった。この場合、特許庁長官は、拒絶をすべき旨の査定をした審査官にその請求を審査させなければならない。


(ニ) 拒絶査定不服審判の請求人は、前置審査をする審査官について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、これを忌避することができる。


(ホ) 2以上の発明を包含する特許出願Aについての拒絶査定不服審判の請求時に、特許法第 44 条(特許出願の分割)第1項の規定により、特許出願Aの一部を新たな特許出願Bとした場合において、特許出願Bの審査において必要があると認めるときは、特許出願Aについての拒絶査定不服審判の審決が確定するまで、特許出願Bの手続を中止することができる。


1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

question.pdf (jpo.go.jp)
さかいろ
さかいろ

長い~~~~

短答では1問につき、だいたい5問の枝がついているのです!

しかも最近は、「正しいものはいくつ?」問題なので、ちゃんと全部読まなきゃ答えられないという・・・^^

めちゃくちゃ大変なのですが、1つずつ見ていきましょう^^

枝イ

(イ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が軽微なものである場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる

さかいろ
さかいろ

前置審査に関する問題だね!!

前置審査に関する条文は~~~~~~

162条!!

まず条文から確認します!

第百六十二条 特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。

特許法 | e-Gov法令検索

なので、前置審査の適用条件は、以下の通り!

  • 前置審査の適用条件(162条)
    • 拒絶査定不服審判の請求
    • 請求と同時に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面について補正あり
      • メモ・・・上記の補正は、実体補正を意味する。方式補正の場合は前置審査の対象にならない。実体的要件を審査官に再度判断させる制度だから。

最初の文では、請求と同時に図面のみを補正と記載。ココまでは適用条件○なので、OK。

問題は、2文目の「軽微な補正」の場合、どうなるかってことだけど・・・前置審査させるの?させないの?ってとこなんだけど・・・・

さかいろ
さかいろ

軽微な補正でも、実体補正であると思われるので(方式補正の場合は前置審査の対象とならない)、162条の通り、「審査官にその請求を審査させなければならない。」

なので2文目の最後、「審査官にその請求を審査させないものとすることができる。」が間違っている!(と思う)

(イ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が軽微なものである場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる

答え:×

理由:「審査官にその請求を審査させないものとすることができる。」が×のため。軽微な補正でも、実体補正であると思われるので(方式補正の場合は前置審査の対象とならない)、162条の通り、「審査官にその請求を審査させなければならない。」(と思う)

枝ロ

(ロ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が、特許法第 17 条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないことが明らかな場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。

さかいろ
さかいろ

ロも前置審査のはなしだね!

1文目の「請求と同時に図面のみ補正」までは、イと同じ。なのでココまではOKだよね。

2文目の補正要件を満たしていない場合、前置審査させないとかできるのか?ってとこだけど・・・

補正要件満たしてなくても、特許査定する場合を除いて補正却下の決定はできなかったよね!∵164条2項

さかいろ
さかいろ

そして、補正却下することなく、長官にその旨報告!だね。∵164条3項

条文も確認!!

第百六十四条 審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。

 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。

 審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。

特許法 | e-Gov法令検索

なので、補正要件満たしていないのが明らかな場合であっても、審査官は補正却下することなく、長官にその旨報告!だから(164条3項)、「特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。」が間違いだよね!

(ロ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が、特許法第 17 条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないことが明らかな場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。

答え:×

理由:「審査官にその請求を審査させないものとすることができる。」が×のため。補正要件満たしていないのが明らかな場合であっても、補正却下することなく、長官にその旨報告

枝ハ

(ハ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正があった。この場合、特許庁長官は、拒絶をすべき旨の査定をした審査官にその請求を審査させなければならない。

さかいろ
さかいろ

前置審査の立法趣旨から言うと、原則、↑は○なんだよね。

拒絶査定をした審査官に審査させることで迅速に特許査定とかできるようにするための制度だから。

確かに、原則、前置審査の審査は、拒絶査定をした審査官が行うんだけれども、例えば、退職や転職とかのときは他の審査官によって審査されるんだったよね!なので、「審査させなければならない。」が×(と思う)

(ハ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正があった。この場合、特許庁長官は、拒絶をすべき旨の査定をした審査官にその請求を審査させなければならない。

答え:×

理由:確かに、原則、前置審査の審査は、拒絶査定をした審査官が行うんだけれども、例えば、退職や転職とかのときは他の審査官によって審査されるため。

枝ニ

(ニ) 拒絶査定不服審判の請求人は、前置審査をする審査官について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、これを忌避することができる。

さかいろ
さかいろ

よくごっちゃになるやつきた~~~除斥と忌避!

皆さん、大丈夫でしょうか?

私は除斥と忌避、よくごっちゃになっているのですが・・・^^

除斥は、当然に除外される除斥原因が規定されている!んだったね。例えば、審判官自身が当事者だったり(1号)、審判官が当事者の親族だったり(2号)とか、それは当然アカンやろっていうシチュエーションを規定。

特許法での除斥原因は139条

(審判官の除斥)

第百三十九条 審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。

 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。

 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。

 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。

 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。

 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。

 審判官が第六十七条第二項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係る特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。

 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

特許法 | e-Gov法令検索

忌避は、公平を妨げる事情があるときのやつだね!141条。除斥原因には記載ないけど、客観的にコレはアカンやろーって原因あるときに使うやつだね!

(審判官の忌避)

第百四十一条 審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参加人は、これを忌避することができる。

 当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもつて陳述をした後は、審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

特許法 | e-Gov法令検索

ここまでの除斥と忌避は審判官、つまり審判段階での適用規定

さかいろ
さかいろ

で、前置審査で、除斥と忌避、どのように準用しているか・・・だけれど。

(審査官の除斥)

第四十八条 第百三十九条(第六号及び第七号を除く。)の規定は、審査官について準用する。

特許法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

審査官には、除斥のみ準用!∵48条

忌避は準用されていなかったね。

審査に忌避を認めると審査の遅延につながることから規定されていないんだったね!!

ということで、忌避できないので、ニは×。

(ニ) 拒絶査定不服審判の請求人は、前置審査をする審査官について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、これを忌避することができる。

答え:×

理由:前置審査には忌避を準用していないため(∵48条)

さかいろ
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除斥と忌避の過去出題履歴

令和4年度 短答 特許/実案3 ニ

枝ホ

(ホ) 2以上の発明を包含する特許出願Aについての拒絶査定不服審判の請求時に、特許法第 44 条(特許出願の分割)第1項の規定により、特許出願Aの一部を新たな特許出願Bとした場合において、特許出願Bの審査において必要があると認めるときは、特許出願Aについての拒絶査定不服審判の審決が確定するまで、特許出願Bの手続を中止することができる。

さかいろ
さかいろ

ぎゃーーーーー出た!!

コレ↓だね。

令和5年4月から運用開始の制度のとこ。出たね・・・^^出るんだね・・・親出願Aの審決確定するまで、子出願Bの審査を待ってくれるようになったんだよね!!だって、Aが拒絶されそうやったら、それ踏まえてBの対応したいし・・・急いでBをどうするか決められない、そんな悩みに答えてくれる制度だよね!

重要そうな所だけ抜粋

分割出願のうち、原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求にあわせて出願されたものについては、原出願の前置審査又は審判の結果を踏まえて当該分割出願の審査をする方が便宜である場合があります。また、出願人にとって、原出願の拒絶査定不服審判の結果を踏まえて分割出願の対応を検討できることは、より効率的かつ効果的な出願戦略の構築につながると期待されます。

そこで、令和5年4月1日から以下の運用を開始します。

令和5年4月から、一部の分割出願のうち出願人又は代理人から申請がされた案件について特許法第54条第1項を適用し、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで当該分割出願の審査を中止する運用を開始します。

原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

ちなみに54条1項には審査中止の話が書いています!これを適用して、分割出願の審査を中止するんですねー!

(訴訟との関係)

第五十四条 審査において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。

特許法 | e-Gov法令検索
さかいろ
さかいろ

ということで、枝ホは○

(ホ) 2以上の発明を包含する特許出願Aについての拒絶査定不服審判の請求時に、特許法第 44 条(特許出願の分割)第1項の規定により、特許出願Aの一部を新たな特許出願Bとした場合において、特許出願Bの審査において必要があると認めるときは、特許出願Aについての拒絶査定不服審判の審決が確定するまで、特許出願Bの手続を中止することができる。

答え:○

理由:↓新しい運用の通り。

原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について

まとめ(R05短答・特実1)

【特許・実用新案】1

特許法に規定する拒絶査定不服審判又は特許法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。


(イ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が軽微なものである場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。


(ロ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した図面についてのみ補正があった。当該補正が、特許法第 17 条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないことが明らかな場合、特許庁長官は、審査官にその請求を審査させないものとすることができる。


(ハ) 拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正があった。この場合、特許庁長官は、拒絶をすべき旨の査定をした審査官にその請求を審査させなければならない。


(ニ) 拒絶査定不服審判の請求人は、前置審査をする審査官について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、これを忌避することができる。


(ホ) 2以上の発明を包含する特許出願Aについての拒絶査定不服審判の請求時に、特許法第 44 条(特許出願の分割)第1項の規定により、特許出願Aの一部を新たな特許出願Bとした場合において、特許出願Bの審査において必要があると認めるときは、特許出願Aについての拒絶査定不服審判の審決が確定するまで、特許出願Bの手続を中止することができる。


1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし

答え:1

理由:枝ホのみ○、その他の枝×のため

ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。

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