ついに、終わりましたね~
令和6年度の弁理士試験 短答試験!
受験された方はお疲れ様でした!!!
また、弁理士試験 短答 過去問 令和6年度【特許/実案】1から、ボチボチ解説を続けていきたいと思います。
ブログでの内容はあくまで管理人の個人的な解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。予め、ご了承くださいませ。間違い等気付かれた方はコメントやお問い合わせフォームからどうぞ宜しくお願い致します。
弁理士試験 短答 過去問 令和6年度【特許/実案】1
【特許・実用新案】1
特許法に規定する拒絶査定不服審判又は同法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、誤っているものは、どれか。
1 拒絶査定不服審判の請求と同時に、その請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正がされなかった場合、審査官がその請求を審査することはない。
2 特許を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利について拒絶査定不服審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
3 拒絶査定不服審判の審判請求期間経過後の請求は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものとして、審決をもってこれを却下することができる。
4 拒絶査定不服審判において、口頭審理による審判をするときは、審判書記官は、調書の作成に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる場合がある。question.pdf (jpo.go.jp)
5 拒絶査定不服審判において、当該審判の請求人の申立て又は職権により、審判長の判断で、口頭審理期日に審判廷に出頭することなく、ウェブ会議システムを利用して当該期日における手続を行うことはできない。
1
1 拒絶査定不服審判の請求と同時に、その請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正がされなかった場合、審査官がその請求を審査することはない。
前置審査のとこだよね??
同時に補正したら、前置審査=審査することになると思うけど・・・
補正しなかったら、審査しないのかな??
私も「審判請求と同時補正で前置審査」って流れで覚えてたから、
補正なしなら審査なしだっけ???となってしまって。
条文で見てみましょう!
第百六十二条 特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
特許法 | e-Gov法令検索
前置審査の条文、162条だね!
そうそう。
審判請求と同時に補正のときは、審査官は審査しないとダメなんだね。
そしたら、補正しなかったら、審査しなくてもいいと読めるよね。
ということは、○っぽいね。
なんか文章が言い切っているから、ちょっと自信なくなってビックリしちゃった・・・
最初っから難しいね・・・
1 拒絶査定不服審判の請求と同時に、その請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正がされなかった場合、審査官がその請求を審査することはない。
答え○
理由:162条
2
2 特許を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利について拒絶査定不服審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
拒絶査定不服審判の請求は、共同出願人全員だったよね!
はい、そうです。
答え○ですね。
根拠条文を見てみましょう!
(共同審判)
第百三十二条
3 特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
特許法 | e-Gov法令検索
14条も関係するかな?
とりあえず条文をあげておきましょう!
(複数当事者の相互代表)
第十四条 二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
特許法 | e-Gov法令検索
2 特許を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利について拒絶査定不服審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
答え○
理由:132条3項
3
3 拒絶査定不服審判の審判請求期間経過後の請求は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものとして、審決をもってこれを却下することができる。
決定をもって却下と、審決をもって却下・・・
このあたり苦手・・・
私も苦手なんですよね・・・
とりあえず、審判請求期間経過後の請求は、審決却下の対象になるんですよね。
135条で。
(不適法な審判請求の審決による却下)
第百三十五条 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
特許法 | e-Gov法令検索
苦手部分をまとめると以下のような感じでしょうか・・・
- 方式審理 133条
- 形式面のチェック。例えば、審判請求書の方式不備や、手数料の納付とか。
- 不備があれば、補正命令→決定をもって却下
- 審判請求書の要旨変更も→決定をもって却下
- 審判請求以外の不適法なもので補正できないもの→弁明の機会与えた後、決定をもって却下
- 適法性審理 135条
- 補正ができないほどの重要な不備、例えば審判請求期間経過後の請求だったとかは、→審決をもって却下
4
4 拒絶査定不服審判において、口頭審理による審判をするときは、審判書記官は、調書の作成に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる場合がある。
あれ?そもそも、拒絶査定不服審判って書面審理じゃなかったっけ??
原則、書面審理。
だけど、当事者の申立等で口頭審理にもできるんだったね!
145条2項
(審判における審理の方式)
第百四十五条 特許無効審判及び延長登録無効審判は、口頭審理による。ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。
2 前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
特許法 | e-Gov法令検索
なるほど!
それで、審判書記官は、自己の意見を書き添えることはできるのかな??
審判を口頭審理で行った場合、審判書記官は調書を作成します。147条1項
そして、審判書記官は、調書作成時に審判長の命令を受けた場合、その命令には従わなくてはなりません。しかし、その場合、なんと自分の意見を書き添えることができるのです!147条2項
なるほど!
(調書)
第百四十七条 第百四十五条第一項又は第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。
2 審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。
特許法 | e-Gov法令検索
4 拒絶査定不服審判において、口頭審理による審判をするときは、審判書記官は、調書の作成に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる場合がある。
答え○
理由:147条2項
5
5 拒絶査定不服審判において、当該審判の請求人の申立て又は職権により、審判長の判断で、口頭審理期日に審判廷に出頭することなく、ウェブ会議システムを利用して当該期日における手続を行うことはできない。
ウエブ会議!?
コロナ禍で導入されたっぽい制度だね!
そうそう!
口頭審理はウェブ会議システムでできるようになったんだよね!
145条6項
なので×
(審判における審理の方式)
第百四十五条
6 審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第三項の期日における手続を行うことができる。
特許法 | e-Gov法令検索
5 拒絶査定不服審判において、当該審判の請求人の申立て又は職権により、審判長の判断で、口頭審理期日に審判廷に出頭することなく、ウェブ会議システムを利用して当該期日における手続を行うことはできない。
答え×
理由:拒絶査定不服審判は原則、書面審理だけど、口頭審理にすることもできるし(145条2項)、口頭審理はウェブ会議システムでできるため(145条6項)
まとめ(R06短答・特許/実案1)
【特許・実用新案】1
特許法に規定する拒絶査定不服審判又は同法第 162 条に規定する審査(いわゆる前置審査)に関し、誤っているものは、どれか。
1 拒絶査定不服審判の請求と同時に、その請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正がされなかった場合、審査官がその請求を審査することはない。
2 特許を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利について拒絶査定不服審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
3 拒絶査定不服審判の審判請求期間経過後の請求は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものとして、審決をもってこれを却下することができる。
4 拒絶査定不服審判において、口頭審理による審判をするときは、審判書記官は、調書の作成に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる場合がある。
5 拒絶査定不服審判において、当該審判の請求人の申立て又は職権により、審判長の判断で、口頭審理期日に審判廷に出頭することなく、ウェブ会議システムを利用して当該期日における手続を行うことはできない。
答え:5
理由:5のみ×。その他○
コメント